最初の過ごし方をちょっと意識するだけで、教職が楽しくなり、業務効率も変わってきます。
20代のうちにやっておきたい、教員の基礎固めポイントを紹介しますね!
教職における20代は、初めて学校現場に入る不安からスタートします。
そして教員としての立場に慣れて、自分なりの方針が出来上がっていく時期です。
20代をしっかり学びながら過ごすことで、20代後半からそれ以降にかけて、より仕事を面白く創っていくことができるでしょう。
教員の仕事には、「やらなければならないこと」と「やったほうがよいこと」の2種類が存在します。
仕事として「やらなければならないこと」を進めていれば、ある程度のスキルは身につきます。
しかし、よりよく働いていくためには、自ら仕事を楽しく充実させようと学んでいく姿勢が必要です。
今回は、20代のうちに「やったほうがよいこと」に視点を向けて、私自身の経験から特に良かったものを8つ紹介していきます。
高校の数学教員として10年以上教職に携わる。
内容を教えるのではなく、学び方を教えるをモットーに授業を展開。
初任校では同僚や管理職に恵まれ、サポートを受けながら責任ある仕事を経験させてもらう。
以来、学校運営の視点を持ちながら、学びと実践に励んでいる。
目次
教員にとっての20代とは?
教員にとっての20代とは、どのような段階でしょうか?
「教員としての土台をつくる」「若さを武器にどんどん挑戦をする」
そのような年代ですね!
20代前半は社会人としての経験がまだ浅く、教職に限らず仕事の進め方を押さえていく段階と言えるでしょう。
また20代後半であれば、教職の仕事に慣れてきて、自分なりに仕事の進め方を確立させていく時期でもありす。
このような20代の先生方には、魅力がたくさんあります。
その一方で、もちろん若いなりの悩みもあるでしょう。
このような武器を最大限活かしつつ、悩みを解決するためのスキルアップをしていきたいものです。
今回は私自身の経験から、20代のうちに取り組んでおきたいことを厳選してお伝えしていきます。
20代でやっておきたいこと8選
「20代でやっておきたいこと8選」は以下の通りです。
一つずつ紹介していきますね!
授業改善の方法を確立する
やはり授業スキルが大事ですよね。
生徒に一番影響のある業務ですからね。
教員の仕事のうち、最も重要なものが授業です。
なぜなら、生徒にとって学校生活の大半が授業だからです。
学習内容を身につけることはもちろん、社会を生き抜いていくための資質・能力を身につける場も授業が大きな割合を占めます。
また、中学校や高校に関して言えば、教員は教科ごとに採用されています。
担任、生徒指導や進路指導、部活動顧問として採用試験は行われません。
ですから授業が何よりも大切であり、その授業力を磨くことこそ優先的に行わなければならないと考えています。
確かに教科担任制である中学校や高校であれば、担任として関わる時間より授業時間での関わりの方が多いです。
ですから、生徒との信頼関係の構築にも授業力は欠かせませんね。
例えば、生徒からの信頼は、授業の良し悪しで決まる部分が大きいです。
「授業が面白くない、つまらない」
「でも担任としてはとっても信頼できる」
このような話はあまり聞いたことがありません。
授業がよりよいものになることで、担任としての信頼も高まりますし、その他の教育活動でも生徒との関係を良好にしていくことができます。
一番大切な授業。
20代のうちにやっておくべきことは、「授業改善の習慣を身につけておくこと」です。
最近では、授業の在り方が問われています。
など、時代に応じて学習内容はもちろん、学習の形態も変えていかなければなりません。
年齢を重ねると、この変化に柔軟に対応できる人とそうでない人との差が明確に分かれます。
柔軟に対応している先輩の先生方は、昔から意識的に教育活動に取り組まれています。
ですから、何事も吸収できる20代のうちに、当たり前に授業改善を行う習慣を身につけることで、今後の教職人生が豊かになるのです。
社会の変化に追いつけなくなると、重要な業務を校長から命じられる機会も減り、教職のやりがいも減っていくでしょう。
「公務員だから、できるだけ働かないのが勝ち」
教育に携わるものとして、このような考えは避けたいものです。
具体的には、どのように授業改善の習慣をつければよいのでしょう?
それは「学ぶツールを見つけておくこと」です。
授業改善のツールはいくつかあります。
書籍や雑誌を読む、研究大会に参加するなど自己投資を行う
購読した雑誌に目を通したり、実践や理論が紹介されている書籍を読んだりすることは、授業改善のヒントを得る重要な時間です。
そこで得たヒントを実際に自分の授業で試してみる。
この繰り返しが、授業力の向上につながるのです。
月に1冊でもよいので、時間を見つけて読んでみましょう。
また、教科部会では自治体ごとの研究会や地区大会、全国大会などが実施されています。
そこでは多くの先生方が実践の報告をしたり、著名な方の講演を聞いたりすることもできます。
学びの場に積極的に出向くことで、新しい世界が広がります。
書籍の購入や個人的な研修は、自費での参加が普通ですよね?
多くはそうですね。
でも身銭を切っての学びこそ、得られるものが多いですよ。
自分で学びを見つけにいくということは、いま自分に必要な学びを必要なタイミングで手に入れることです。
例えば法定研修などで考えてみましょう。
主事主任研修などは、全員が初めての職務にあたるために行う研修です。
ですから、研修のねらいが明確で一定の成果が期待できます。
一方で、◯年目研修などの法定研修では、経験年数に応じて義務的に多数を集めた研修です。
このような研修では、教員としての力量や求めているものもバラバラ。
個別最適化された学びにはなりにくいのです。
ですから、自分自身で学びを見つけにいくことが大切なのです。
そのためには自己投資・自己研鑽が欠かせません。
ぜひ、自分で学びを見つけていく姿勢を20代のうちから習慣化しておきましょう。
授業力だけでなく、教員として人としての成長にお金を投じることは有意義な使い方かもしれませんね!
若いうちは給与も少ないですが、「給与の5%を自己研鑽に充てる」など、ルールを決めて学びに向かう習慣を取り入れてみてもよいかもしれません。
▼授業力改善についてはこちらの記事もどうぞ。
校内研修や他校視察も学びの場
校内研修や他校で実施される公開授業などは、無料で参加できる代表的な学びの場です。
日々の業務が忙しく、任意だとなかなか参加しようと思えないこともあります…。
校内研修や他校視察は、授業改善につながる一番身近な学びです。
日々の業務が忙しいですが、ここを「めんどくさい」と思っていては、年齢を重ねてからも授業改善に取り組めない教員となってしまいます。
校内研修では授業公開期間など、それぞれの先生の授業を自由に見れる期間が設定されている学校もあるでしょう。
そのような場合には、お目当ての先生だけでも構わないので、ぜひ空き時間に積極的に参加する習慣を身につけましょう。
同じ学校の生徒を教えている授業だからこそ、得られる気づきがあります。
他校視察も、手を挙げられるなら積極的に参加できるとよいですね。
無料で他校の実践を知ることができる。
お得かもしれません!
▼校内の授業参観については、こちらの記事もどうぞ。
学級経営の方針を確立する
2つ目は、担任として学級経営の方針を確立しておくことです。
授業力の次は、学級経営力ですね!
教職の3大業務は、「授業」「担任業務」「分掌業務」です。
そのうち、生徒に大きな影響を与えるのは、授業や担任などの生徒と直接関わる業務です。
ですから、20代でやっておきたいことの2つ目として、担任業務を紹介していきます。
学習指導要領には、ホームルーム経営について以下のように示されています。
学習や生活の基盤として,教師と生徒との信頼関係及び生徒相互のよりよい人間関係を育てるため,日頃からホームルーム経営の充実を図ること。また,主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと,個々の生徒の多様な実態を踏まえ,一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリングの双方により,生徒の発達を支援すること。
高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総則編 P141 ホームルーム経営
学習指導要領を踏まえて、私自身が担任の役割として大切にしていることは、以下のとおりです。
授業担当者の授業力に応じて、生徒の授業へ取り組む姿勢は変わります。
そのような中で、授業全体を意識した学び方や想いを生徒に伝えられるのが担任です。
同じ教科担当でも、クラスによって雰囲気が異なることがありますよね。
これはまさに学級経営の力であると思います。
ですから、担任としてどのような学級経営を行なっていくのか、その方針をしっかり定めておくことが重要なのです。
先ほどの3つの例は、あくまで私が考える担任として大切にしていることです。
自分なりの方針を20代のうちにつくっておきましょう!
ここでポイントとなるのが、小手先のテクニックではなく教員としての想いや柱のようなものを持つことです。
しっかりと信念をつくり上げておくことで、時代の変化とともに新しい方法論が出てきても上手く使いこなすことができるでしょう。
それが生徒の支援につながる根本的な部分になります。
何が生徒の成長につながるか。
そのための学級経営方針をどうするか。
考えてみます!
20代で学級経営をしっかり考えておくことは、担任を退いた後も役立ちます。
近年は、担任制の廃止なども話題に上がってきています。
学年全体で生徒を見ることになったとしても、担任として培ったスキルは学年経営として生きてきます。
また、30代になりミドリーダー世代になると、学級経営から学年経営、学校経営の視点に仕事がシフトしていきます。
そのようなときも、学級をよりよくする視点は、学年・学校をマネジメントする力につながります。
ですから、まずは最初の経営的な視点である学級担任で、自分なりの教職観をつくり上げていきましょう。
▼学級経営については、こちらの記事もどうぞ
進路情報の入手経路を押さえる
3つ目は、進路情報を学ぶことです。
大学受験の科目であるなしに関わらず、教科横断型の探究活動が必須である近年、授業者が生徒の進路を見据えて授業を行うことは必須です。
また担任としては、面談を通して生徒に進学や就職について、適切な支援をしたり生徒の考えを引き出したりすることが求められます。
したがって、進路情報を学ぶことは教師の大きな役割の一つと言えるでしょう。
多くの人は、自身の体験を踏まえ指導をします。
教員は基本的に4年制大学に進学し、そのまま教員になることが多いです。
ですから、就職や専門学校・短大への進学など、自らが経験してこなかった進路選択には弱い傾向があります。
また4年制大学についても、文理の違いや国公立大と私大の戦略の違いなど、経験外の知識は多くあります。
そのため進路情報をしっかり学ぶことは、教員になった早い段階で行いたいのです。
でも進路情報ってたくさんありすぎて、全部は把握しきれないですよね。
自分自身がデータベースになるのではなく、情報の入手の仕方を押さえておくのです。
今の時代、インターネットの検索で大体の内容が分かりますし、教員向けサービスも充実しています。
また、大学入試なども年々変化を続けていますので、全てを把握することはできません。
大切なことは、
ということです。
例えば近年では、総合型選抜の拡充による探究活動の重要性が挙げられます。
総合型選抜による定員枠が増加しているのに、
「探究は必要ない」「とにかく一般入試で点を取るために詰め込みだ」
なんて声が少し前まで聞かれていました。
進路情報は刻々と変化していきます。
その状況に応じて、進路指導も授業も変えていかなければなりません。
進路情報に対する学びは、細かい知識を入れることではなく、「情報感度を高めておくこと」「自身をアップデートする方法を確立しておくこと」なのです。
具体的には、どのような情報源があるのでしょう?
進路情報の収集手段は、数えればキリがありません。
上記のような情報にアクセスできるようアンテナを貼っておくで、生徒への支援が必要な場面で活用することができます。
情報は取りに行くものです。
同じインターネットサービスを使っていても、一部の情報しか見ていない先生と色々な情報を引っ張ってこれる先生がいます。
また、年齢を重ねると経験でやり過ごせてしまうので、新たに情報を手にいれることに後ろ向きになりがちです。
ですから、教員としての基礎をつくる若手の段階で、進路の情報源を整理しておくとよいでしょう。
仕事の進め方を確立する
ここまでは、生徒に直接関わる業務について見てきましたね。
ここからは「働き方」の視点で考えていきましょう。
20代のうちにやっておきたいこと4つ目は、仕事の進め方を確立することです。
教員は多忙です。
毎日の授業に担任業務。
空きコマには、その準備に加えて分掌関係の資料作成や会議をしなければなりません。
さらに、人によっては補習や部活動関係の準備などもあるかもしれません。
これだけの業務を円滑に進めていくためには、自分なりの仕事進め方を確立しておく必要があります。
私自身が行なっているものをいくつか紹介します。
仕事のルーティーンを決める
例えば、
などを決めています。
これが必ずしもよい方法であるとは限りません。
大切なことは、自分にとって仕事が進めやすい方法や習慣を20代のうちに試行錯誤しておくことです。
もちろん、業務内容や立場によって職務は変わりますから、毎年多少の変更はあります。
しかし、管理職にならない限り授業と校務分掌はあるわけですから、大きな変化はありません。
自分の集中できる方法などを模索しておくとよいでしょう。
仮想締切を設定する
授業準備に、返却物、分掌の資料など、教員は同時に進めなければならない仕事がたくさんあります。
そこで、締切日を自分で少し早めに設定しておくのです。
そうすることで、すべての仕事がちょっと前にずれるので、余裕を持って仕事を終わらせることができます。
締切を過ぎることは、人への迷惑になりますし、生徒に関わることであれば信頼も失います。
また、担任を持っていると緊急事案も多くあります。
そこで仮想締切を設けることで、余裕を持って仕事に取り組めるのです。
結果、緊急事案にも落ち着いて対応することができますよ。
他の先生が関わる仕事を優先する
もう一つ大切にしていることは、他人が関わる仕事を優先することです。
教員の仕事は、「学級経営や授業づくりなど自分のみで完結する仕事」と「分掌や学年全体の仕事など他の先生の仕事に影響する仕事」があります。
後者の仕事がギリギリになると、他の先生の仕事が滞ります。
ですから、他の先生が関わる仕事を先に済ませ、生徒へのフィードバックなど後からゆっくり時間をかけたい仕事を進めるようにしています。
もちろん、生徒への返却物を先延ばしにするということではありません。
早く生徒にフィードバックしたいものは先に行うこともあります。
このように、臨機応変に仕事をする力も、意識的に身につけておきたいことなのです。
紹介してもらった仕事の進め方を早速試してみます!
あくまでも私が実践している一部の例にすぎません。
自身なりの仕事の進め方を若手のうちに作り上げましょう。
業務ごとにロールモデルを見つける
目標とする先生を見つけることって大事なのですね。
身近なロールモデルの存在はとても大切です。
特に業務ごとに見つけておくことをオススメします!
義務教育では教育委員会単位でメンター研修を推奨していることが多いです。
これは、平成27年の中教審の答申を踏まえて、多く見られるようになりました。
これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)(中教審第184号)
答申では、研修の在り方としてメンター研修が紹介されており、ミドルリーダーの育成も併せて記述されています。
メンター研修とは、1〜3年目のくらいの若手教員(メンティ)に中堅・ミドルリーダーの先生がメンターとしてつき、業務に対する相談ができる体制をとることです。
近年では、若手教員の増加や中堅教員の減少によって、中堅がファシリテートしながらメンティ同士で悩みを出し合う研修もあるようです。
一方で、高校現場では校内研修の土台がなく、そのような制度はあまり見かけません。
まだまだ、「自分で先輩を観察し技を盗め」の世界が大半でしょう。
高校でもメンター研修を取り入れればよいのではないですか?
もちろん充実した研修は素晴らしいですが、課題もあります。
学校で研修文化が根付いていない状態では、校長のリーダーシップが必要です。
また多くの学校でメンター研修の実践自体が研究対象になるくらい、小・中学校でも試行錯誤が続いています。
例えば、以下のような課題があります。
そこでオススメするのが、自分でロールモデルを見つけることです。
さらに、業務ごとに複数人見つけるのです。
学校現場では、オールマイティな人材やマンパワーが求められます。
この問題はたびたび指摘されており、学校を持続可能な組織にしていくためには、それぞれの先生が専門性を発揮し組織的に教育活動に取り組んでいく必要があります。
一方で、授業・担任業務・生徒指導・進路指導・探究活動・学校事務など、すべての業務に個々の教員は関わらなければなりません。
そのため、最低限オールマイティーに取り組む力が求められるのも事実です。
だから、業務ごとに秀でている先生を見つけて、ロールモデルとするのですね!
例えば、以下のようの見つけ方を参考にしてみましょう。
このように、それぞれの分野でロールモデルとなる先生を見つけることで、各分野のスキルを高めていきます。
20代後半になると、ロールモデルにした先生方のように、自分の得意を見つけていきます。
しかし、初めのうちは自分の頑張りどころを定めつつも、全体のスキルを高めていくことが大切です。
「何か得意があっても、その他の業務は一切やらない。」
これでは学校組織はうまく動きません。
学校現場は、個々の教員がさまざまな場面に関わることで、相乗的な効果を発揮する職業です。
すべてをパーフェクトにすることはできませんが、それぞれの分野でのロールモデルを見つけて幅広くスキルを高めていきましょう!
幅広い分掌を経験したうえで得意を絞る
先ほど述べた通り、教員にはさまざまな業務が存在します。
さらに校務分掌においても種類が複数存在します。
そこで、20代のうちに行なっておいた方がよいことの5つ目は、できるだけ多くの分掌に関わり、その中から自分の得意を絞っていくことです。
教務・進路指導・生徒指導・情報・施設管理・渉外・図書・保健安全
など分掌体制は学校によってさまざまです。
特に大きな分掌は、教務・進路指導・生徒指導です。
この3分掌を中心に、できるだけ複数の分掌に関わる経験を持つことで、学校全体が見えるようになります。
ときどき、以下のような場面を目にします。
これでは、よりよい教育活動を実施する学校にはなりません。
一方で、さまざまな分掌を経験しておけば、
というようなメリットがあります。
これらが身についている若手は信頼されます。
そして将来的に主任等を任されるときには、他分掌の立場や個々の業務状況を理解しながら仕事の調整を進めていくことができます。
20代のうちに、できるだけ多くの分掌を経験しておきます!
学校全体を見渡す視点と、その中で自分の得意を見つける視点の両方を持っておくことも大切ですよ!
先ほども述べたようように、学校ではオールマイティな人材が求められます。
特に20代のうちは、すべての業務が平均以上にできる人材が重宝されるでしょう。
しかし、30代になってくると得意が輝いている先生や全体を見渡すミドルリーダーが求められます。
ですから、学校全体を見渡す力をつけつつ、20代後半では自分の得意を絞っておきたいのです。
職員の人数が多い学校であれば、担任は1つしか分掌を持たないこともあるかもしれません。
2つ以上の分掌を持つ学校の場合には、「自分の得意としていきたい分掌+学校全体を知るための分掌」という目線を持ってみるとよいでしょう。
バランスを整えつつ、尖った武器を身につける。
20代のうちにチャレンジします!
経験値は買って出る
昔から「若い頃の苦労は買ってでもしろ」と言われますよね。
働き改革や業務改善が騒がれている近年、大きな声では言いづらいですが…。
学校現場は、年功序列がまだまだ続いています。
給与体系はもちろん、管理職や主幹教諭などを除けば、多くが同じ教諭です。
ですから、経験年数や年齢を意識する人が出てくるのは仕方のないことかもしれません。
そのようなこともあり、「研究授業は若手の先生に」「この仕事は新任の先生に」などの状況がたびたび見られてしまうのです。
私はあまり好きな考え方ではありませんが、このように言ってくる人は少なからずいます。
学びにはなるけど、そうのような言われ方は気持ちのよいものではないですね。
このような場面を含め、大切なことは「やらされている学び」か、それとも「自分で意欲的に行う学び」かということです。
若いからという理由だけでやらされた。
そのような経験のまま終わってしまうと、年齢が上がった際に自分も同じく若手に仕事を押し付けることになるでしょう。
一方で、自分の学びにつながると考えて行動した人は、歳を重ねてからも授業改善や学校改革に取り組み、どんどんチャレンジできる人になるはずです。
定年の最後の日までICTを活用したりAI型の授業を行ったりと、私の尊敬する先輩は自ら学びを創る方でした。
教職経験の長さに関係なく、一定の努力をすることで仕事に充実感が持てることに変わりはありません。
自分の学びにつながると考えたものは、ぜひ積極的にチャレンジしていくことをオススメします。
これらは、私自身が経験したもの一部です。
このような経験によって、多くの学びを得ました。
また経験値を積んでいる姿を見てくれている人は必ずいます。
仕事を依頼したい人を探ししているときに、自分のことを思い出してもらえることはとても嬉しいことです。
まさに、運は人からやってくるのです。
ただし、注意も必要です。
この二つを意識しましょう。
冒頭でも述べた、業務改善・働き方改革の時代です。
なんでも引き受けてしまい、通常業務に支障をきたしたり体を壊したりしてはいけません。
また、「若いから朝早く来て掃除だ!お茶汲みだ!」なんてのは、もしかしたら経験になるのかもしれませんが、ちょっと時代錯誤です。
自分がいきいきと働くための経験になる、適度なハードルに挑戦していきましょう!
事務業務のためのICT活用を学ぶ
最後は、事務業務のためのICTスキルの習得です。
ここをマスターすると、クリエイティブな仕事への時間を捻出することができます!
大学までに一通りWord, Excel, Power Pointは使ってきました。
よく「初任のころはコンピュータが得意なことは隠しておけ」と言われることがあります。
これは、情報機器やソフトウェアの管理、生徒端末の設定などの仕事を投げられるからです。
それほどまでに、まだまだ学校現場ではICT化やスキルの習得が進んでいません。
教員がコンピュータを使えないのに、もはや生徒にコンピュータを使わせる時代。
ICTの知識は絶対に必要です。
若手でもコンピュータが苦手な人もいますよね。
ここでのICTスキルは、情報や商業の先生のよう専門的な知識ではなく、一般的なものですから心配いりません。
ビジネスの世界にいれば当たり前に使う、WordやExcel、Power Pointなどを便利に活用できるようにしておくことが大切です。
もちろん、他にもgoogle のアプリケーションも便利ですし、個別のソフトウェやiPadを活用した仕事術など、教員の仕事を効率化してくれるものはたくさんあります。
自分がやりたい業務を簡単に行うためには、どうしても初めは時間がかかります。
私もExcelの関数やマクロを勉強したときは、多少なりとも時間がかかりました。
でも、学んだ後の仕事のスピードは桁違いです。
イメージとしては図のようなものです。
ICTに限ったことではありませんが、何事も最初の学習は大変です。
そして時間もかかります。
ですから「紙の方がメモが取りやすい」「手書きの方が味がある」など、やらない理由を見つけて逃れようとしてしまうのです。(もちろん場面によっては手書きのよさはあります。)
しかし、ICTスキルはある程の学習をしてしまえば、そこからの業務効率は一気に高まるのです。
一方で自ら学ぶことがなく、その場しのぎで解決をしている場合には、毎回同じ労力がかかります。
ですから、労力の逆転が起こった先の期間は、圧倒的な差を生み続けるのです。
それが何十年も続くと考えれば、勉強しない理由はありません。
最初の一歩が大切ですね!
またICT活用は、スキップすることが難しいスキルでもあります。
クラウドの使い方がよくわからないけど、次はメタバースの時代が来るかもしれない。
一人一台端末のいま、自分がコンピュータを使えないのに生徒に使わせなければいけない。
これらは、切実な課題です。
年齢を重ねるごとに、上図で示したグラフの交点よりも先の期間が短くなりますから、新しいことを学ぶ気持ちが湧きにくいのは当然です。
しかし一度学ぶことをやめてしまうと、さらにその次のスキルを身につけるのが難しいのです。
一方で学び続けている人は、そもそもスタートの労力が低いです。
もちろん、新たに学ぼうと決心することは素晴らしいことです。
でも前々から常に学び続けていることは、やはり大きなアドバンテージとなるのです。
物事に柔軟に対応できる20代のうちにコンピュータは使えるようにしておきましょう!
そして何よりも事務業務のスピードが上がることは、生徒と向き合う時間を増やすことにつながります。
教師が本来行いたい仕事は生徒の成長に関わることです。
そのために必要な準備を素早く行うこと、雑務はすぐに片付けてしまうことがポイントでしょう。
ICTスキルを磨き、「生徒と向き合う時間」や「クリエイティブな仕事にかける時間」を増やしましょう!
まとめ:20代を充実させ、学び続ける教師を目指そう!
今回の記事では、「20代のうちにしておきたい、教員としての基礎固め」として、私自身の経験から8つの内容を紹介しました。
ただ20代はあくまで目安です。
育休や留学、外部研修などで、学校現場とは異なる場で経験を積まれている方もいるでしょう。
そのような場合には、ご自身の経験に合わせて段階を見てもらえればと思います。
今回の内容をまとめると以下の通りでしたね。
やっておきたいこと | ポイント |
---|---|
授業改善の方法を確立する | 年々変化する教職の在り方に対応できるよう、授業改善の習慣を身につけておく。 そのための学ぶ場やツールを見つけておく。 |
学級経営の方針を確立する | 小手先のテクニックではなく、育てたい生徒像をもち、教員としての想いや柱を築いておく。 |
進路情報の入手経路を押さえておく | 経験していない弱い分野を強化する。 データベースになるのではなく、情報の入手経路を抑え、自身を更新をする習慣を身につけておく。 |
仕事の進め方を確立する | ルーティーンや締切設定など、仕事を効率的に進めるためのルールを自分なりに見つけ出しておく。 |
業務ごとにロールモデルを見つける | 幅広い業務がある教職では、それぞれの分野で最低限の活躍が求められる。 それぞれの分野で一番目標とできる先生を見つけて学んでおく。 |
幅広い分掌を経験した上で得意を絞る | 20代はオールマイティが求められるが、30代からは特定の武器が求められる。 全体を把握する力を備えた上で、磨きたい分野を見つけておく。 |
経験値は買って出る | 柔軟な20代のうちに、自身のスキルアップに繋がるものは、無理のない範囲で積極的にチャレンジする。 経験が次の経験を引き寄せてくれる。 |
事務作業のためのICT活用を学ぶ | 事務作業の効率を高めることで、生徒と向き合う時間を増やす。20代のうちにICTを使えれば、その後の更新も労力が少ない。 |
これらは、通常のやらなければいけない業務に加え、自ら意図的に行うものです。
そこまで一生懸命に取り組まなくても、一応は給料はもらえます。
でも、やっておくと教職がより楽しくなるし、やりがいも生まれます。
そして業務改善にもつながるため、プライベートも充実していきます。
同じ働くなら、楽しみながら働くのがよいですね。
そうですね!
でも、無理をしたら意味がありませんから、バランスを考えながら学び続ける習慣をつくっていきましょう!
また、20代の基礎固めは、30代や40代でミドルリーダーとなった際に必要な土台です。
そして学び続ける教師像は、50代になっても活躍し続けるために重要な習慣です。
一方でこれからの時代、途中で教職を離れる場合もあるでしょう。
そのようなときでも、学ぶ姿勢が豊かな人生につながるはずです。
今回の記事が、教職に携わる方々のちょっとした参考になれば嬉しいです。
「やってみたい!」と思えるものがあれば、ぜひチャレンジしてみてください。
▼今回の記事に興味を持ってくださった方は、こちらの記事もどうぞ!
いよいよ教員生活が始まります。
何かアドバイスをください!