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【なぜ学ぶのか?】「やりたい」を見つけるために「やりたくない」を知ろう!図と地の関係とは?

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生徒さん

「やりたいこと」「興味があること」がなかなか見つからなくて…。

きょういち

そのようなときこそ、学び続けましょう!

 

誰しもが一度は考えたことがある「なぜ学ばなければならないのか?」

今回の記事は、「なぜ学ぶのか?」シリーズ第4弾です。

 

まず初めに毎度お馴染みの前提です。

それは「なぜ学ぶのか?」に答えはないということ。

 

▼「???」と思った方は、ぜひ第1弾の記事を読んでみてから本記事をお読みください。

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学ぶ意味は人それぞれ。

ですから、みなさん自身が納得できる理由を探していく必要があるのです。

 

その上で今回は、なぜ学ぶのかを考えるために「図と地の関係に着目して、やりたくないことを知るために学ぶ」をテーマに話をしてをしていきます。

 

一見矛盾しているように思う、この考え方。

情報社会の現在、スマートに生きている人を見るとどうしても真っ直ぐな道を進みたくなるものです。

そのような時代だからこそ、回り道をしながらも自分のやりたいことを見つけることが大切です。

今回は、そのための学び方を紹介していきます。

 

きょういち

ぜひ「なぜ学ぶのか?」に対する納得解の一つにしてみてください。

この記事を読んでほしい方
筆者の経歴

高校教員として、数学を10年以上教えています。

内容をただ教え込むのではなく、「数学の学び方を教える」をモットーに授業を実施しています。

生徒が主体的かつ協働的に学ぶ授業スタイルを目指し、「なぜ数学を学ぶのか」を意識した授業を心がけている。

図と地との関係から学びについて考えよう

図と地の関係とは?

生徒さん

図と地ってなんですか?

きょういち

図と地とは、心理学の用語の一つです。

ある物は、それ単独のものとしてではなく、必ず一定の背景を伴ってのみ知覚される事実を、地(背景)の中で浮かぶ図にたとえていう語。

引用:スーパー大辞林3.0 三省堂

 

きょういち

言葉だけでは分かりにくいですよね。

代表的な絵として、ルビンの壺が有名です。

ルビンの壺
出典:illust AC
  • 白色の部分を地(背景)とすると、黒色の部分が図(壺の形)として浮かび上がってくる。
  • 黒色の部分を地(背景)とすると、白色の部分が図(横顔)として浮かび上がってくる。

というものです。

つまり、図の部分を図として認識するためには、地が必要なのです。

 

もう少し日常的な場面で言うと、夜空の満月を思い浮かべてみてください。

満月が輝かしく美しく見えるのは(図)、真っ暗な夜空(地)があるからなのです。

きょういち

つまり、図は地があって初めて図になりうるのですね。

生徒さん

何となく意味は分かりました!

ちょっと混乱してはいますが…。

 

学びの世界で考えてみると

きょういち

図と地の関係を踏まえて、「やりたいこと」の見つけ方を考えてみましょう!

  • 「やりたいことが見つからない」
  • 「得意なことが見つからない」
  • 「好きなことが見つからない」

このような声は、進路相談や探究学習の場面でよく聞きます。

 

進路選択に向けた面談の場面においては、学校の先生は「やりたいことは?」と尋ねてきますよね。

探究学習では、自分の興味・関心に基づいて進めていくので難しく感じる人も多いでしょう。

 

生徒さん

好きなことを見つけるって意外と難しいです。

 

だからこそ、実は「やりたいこと」(図)を見つけるために、「やりたくないこと」(地)をたくさん見つけることが大切なのです。

 

「この職業には絶対つきたくない。」

「〇〇は自分の性格には向いていない。」

このような地を増やしていくと、

「好きってほどではないけど嫌いではない」

というものが浮かび上がってきます。

 

その嫌いではないことを試してみることで、

  • 嫌いでないものが好きになっていく。
  • 苦手ではないことが得意になっていく。
  • 絶対にやりたくないとは言い切れないことが、やりたいことに変わっていく。

このように、図を強めていくことができるのです。

 

だからこそ、まずは多くの地を手に入れること。

そのために幅広い学びを進めていくことが大切なのです。

 

「地」を増やす学び

きょういち

ここからは、学校での学びの中で地を増やしていく場面を考えてみましょう!

教科学習の場面で考える

多くの場合、学校では得意を伸ばすより苦手をなくす教育が行われています。

これは、国公立大学への進学を考えると仕方のない部分もあります。

しかし度が過ぎると、学ぶこと自体が嫌になってしまいますよね。

 

そのようなときは

「苦手科目(地)を意識するからこそ、得意科目(図)が頑張れる」

このスタンスで乗り切りましょう!

 

得意科目が見つからない人は、苦手科目でないものを頑張ってみることをおすすめします。

きっと学問の面白さが見えてくるはずです。

生徒さん

とりあえず、嫌いじゃない科目を頑張ってみます!

 

進路・キャリアの場面で考える

きょういち

続いて進路選択の場面で図と地の関係を考えてみましょう!

 

現在のキャリア教育の主流は、好きなものを見つける教育です。

小学校のころから夢を書かされたり、高校では面談で興味のある学部や就職のための得意を聞かれたりします。

 

やりたいことが見つかっている人は、それでも問題はありません。

でも、これといってやりたいことがない場合は難しいですよね。

 

そのような場合には、地を増やしていきましょう。

  • たくさんの職業を調べたり、インターンシップで体験したりする。
  • 本屋さんに足を運び、色々なジャンルの学問に触れてみる。

 

このように、世の中には多種多様な職業や学問があることを知り、少し触れてみる。

その中で、「これは絶対やりたくないな」「自分には向いてないな」というものもが出てきます。

この地を増やすことで、「やりたいこと」「やってもいいかな」という図が見えてくるのです。

生徒さん

そもそも決めるだけの情報がなかったのかも!

まずは知ることですね!

 

探究学習の場面で考える

きょういち

最後は探究学習の場面で考えてみましょう。

探究はまさに地を増やす絶好の機会です。

 

2022年(2019年先行実施)から、学習指導要領に探究の時間が登場しました。

これまでの総合的な学習の時間は、教員が決めた内容をもとに様々な取り組みをしてく場合がほとんどでした。

しかし、探究活動に代わったことで、自分で自由に探究できるカリキュラムが登場しました。

 

与えられるものではなく、自分で学びを創る

これは大きなチャンスです。

自分で実験・開発をしてみたり、活動を広げたりする高校生も出てきました。

 

一方で、ほとんどの高校生が何を探究しようか迷っていることも事実です。

そこでやりたいことに辿り着くための「地」を増やす時間として、探究活動を利用してみてほしいのです。

 

世の中の物事は、それ一つで完結することはありません。

初めからやりたいことが見つからなくても、探究を進めているうちに新しい気づきが得られます。

きょういち

身近な「睡眠」に興味を持ったときの例を見てみましょう。

探究マップ
問いが派生していく様子

 

睡眠一つをとっても、問いを広げていくことで

「教育学」「生物学」「化学」「物理学」「人間工学」「経済学」「社会福祉学」

など派生していきます。

生徒さん

確かに想像しなかった分野もあるかも!

 

これは例の一部ですので、みなさんの問いの深まり次第ではもっと違う景色が広がるかもしれません。

探究活動は、問いを立てて検証するサイクルの中で、新しいものに出会えます。

その大半はすぐに解決できたり、あまり興味が湧かなかったりするかもしれません。

しかし、探究を続けることで自分なりの「面白い!」に出会えるはずです。

 

きょういち

学校の授業の一貫であれば大目に見てくれるので、どんどん社会に飛び出して探究を進めましょう。

高校生の時期だからこそ、学校の後ろ盾を利用して挑戦できます!

 

まとめ:やりたいことを見つけるために挑戦し続けよう!

今回の記事では、図と地の関係に着目して「やりたい」を見つけるための考え方を紹介してきました。

 

「なぜ学ぶのか?」という疑問を持っている人は多いです。

興味はあまりないけど、やらなけらばならないからと行っていることもあるでしょう。

しかし、そのすべてがみなさんの「地」になっていくのです。

 

大きくて深い夜空があるからこそ、満月はキレイに見えます。

ぜひ、たくさんの「地」を手に入れましょう。

 

一流のスポーツ選手は、地道な練習を積んでいるはずです。

起業で成功している人は、それまでに多くの失敗を経験しているはずです。

 

ぜひ、みなさんにとって貴重な図を見つけ出すために、学校での学びや個人での学びを進めてみてください。

きょういち

今回の記事が、みなさんの「なぜ学ぶのか?」に少しでも答えられれば嬉しいです。

 

▼今回の記事に興味を持ってくださった方は、こちらに記事もどうぞ!

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参考・引用文献
  • 松村明(2008).スーパー大辞林3.0 三省堂

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