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【教員向け】優先順位がカギ!業務効率と職能成長に向けた仕事の捉え方を知ろう。

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新人先生

大量の業務に追われていて、なかなか学びの時間が取れません…。

きょういち

業務に優先順位をつけることで、本当に必要な業務を考えてみてはどうでしょうか?

 

教職は様々な業務があり、多忙感を抱えている方も多いと思います。

一方で、これからの時代を生きる生徒のために、教育観をアップデートすることも求められます。

 

教員の最も重要な資質・能力として「学び続ける教師」が挙げられます。

学びの時間を生み出すためにも、業務の優先順位を決めることは大切な視点です。

 

そこで今回紹介をするのは

「緊急でなく重要なこと」に時間をかける視点です。

これは、 スティーブン・R・コヴィー氏の書籍「7つの習慣」で紹介されている考え方です。

 

教員の仕事も適切に分類を行うことで、より質の高い業務に集中することが重要です。

きょういち

「業務改善」と「職能成長」のためのヒントを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を読んでほしい方
筆者の経歴

高校の数学教員として10年以上教職に携わる。

内容を教えるのではなく、学び方を教えるをモットーに授業を展開。

生徒の成長につながる教育活動のために、業務の見直しや一律の宿題の廃止、生徒主体の授業改善などを進めている。

教職の忙しさと学び続ける必要性

学校現場では、新しい教育活動や求められるスキルが次々と上から降りてきます。

しかし職員の定員には限りがあり、人数が増えることはほとんどありません。

むしろ近年は、臨時教員の登録数が減少したことで、産休・育休を取得される先生の代わりが見つからず、教員不足が騒がれるようにもなってきました。

 

そのような中で、一人ひとりが業務を改善したり、自身のスキルアップを通して生産性を高めたりすることがより重要になってきています。

 

スキルアップに関しては、業務を効率的に行うだけではありません。

変化の激しい社会において、教育の在り方が大きく変わている現在。

これまでの教育観をアップデートしなければ、これからの時代を生きていく生徒の育成を行うことはできません。

 

例えば以下のようなものが、学校現場に求められています。

近年求められる教育観

 

数年前から耳にするような教育は、まだまだたくさんあります。

ですから、教員にとって最も必要な資質・能力の一つが「学び続ける教師」であることなのです。

 

「学び続ける教師」は文科省を始め、多くの自治体で取り上げられている文言です。
文科省がまとめる学び続ける教師像については、こちらをご覧ください。

 

新人先生

そうは言っても、学び続けるためには「時間」があまりにも足りなくて…。

きょういち

分かります。

だからこそ、多忙な業務をいかに効率よく行い、学び続ける時間を確保するのか。

その考え方を身につけていきましょう!

 

緊急でなく重要なものに時間を使う

忙しい毎日の中で、学び続けるために必要な考え方。

それは緊急軸と重要軸を用いたマトリクスです。

 

マトリクス
7つの習慣(2014)をもとに筆者作成

これは書籍『7つの習慣』の中で紹介されている考え方です。

詳細は本書の「第3の習慣:最優先事項を優先する」をご覧ください。

 

本記事では、この考え方を教職現場に当てはめて考えてみたいと思います。

 

きょういち

私自身、教職1年目の夏休みにこのフレームを知り、現在の仕事への取り組みに大きな影響を与えてくれています。

 

この2軸を用いて、教員の仕事や職員室内での出来事を簡単に分けてみます。

緊急緊急でない


・生徒のトラブルへの対応
・急な来校者
・直近の授業準備
・計画的な授業準備や分掌業務
・本質的な会議
・ICTや授業スキルの習得など学び全般




・管理職のこだわりだけの書類の訂正
・印刷や注文など同僚からの突然の指示
・生産性のない会議
・興味のない無駄話・自慢話
・理不尽なクレーム
・形骸化されたアンケート調査

 

上記の領域の中で最も大切なものが「第Ⅱ領域:緊急で重要でないもの」です。

  • 自身のスキルアップに時間を使う
  • 教育活動の本質的な価値を高めるための時間を取る
  • 授業準備や分掌業務などを計画的に進める

 

このような重要なことに、余裕を持って落ち着いて取り組むことが大切です。

この第Ⅱ領域を意識することで、第Ⅰ領域の仕事を慌てずに対処することもできます。

 

きょういち

「重要なことに集中する」

「生徒の成長のための教育活動の本質を考える」

そうすることで教職はもっと楽しくなりますし、多忙も解消されていきます!

 

時間を作るためのポイント

新人先生

でも、第Ⅱ領域以外が結構多くて、なかなか時間を作れません…。

第Ⅱ領域に集中するためのポイントを見ていきましょう!

 

第Ⅱ領域に専念するためのポイント

「緊急で重要なもの」は、「緊急でなく重要なもの」にシフトする

きょういち

まず「緊急で重要なこと」を「緊急でなく重要なこと」にシフトしましょう。

 

教員の仕事は、「緊急で重要なこと」がとても多いです。

  • 生徒が体調不良を起こす
  • 生徒同士のトラブルが発覚する
  • 放課後などに学習の質問への対応をする

など、これらを予期することはできません。

 

一方で

  • 明日の授業準備をしなければならない
  • 行事の会場準備や次第作成などの準備しなければならない
  • 分掌業務の締切が迫っている

などの期限が分かっている重要な仕事はどうでしょうか?

 

多忙な教職では、これらも第Ⅰ領域に入ってしまいがちです。

しかし先ほどのトラブル関係とは異なり、これらは第Ⅱ領域へ移すことが可能です。

 

授業準備や担当する分掌業務は、計画的に業務を進めることで緊急ではなくなり、じっくり取り組むこともできます。

そうすることで、本当に緊急なものが入ってきても余裕を持って対応できます。

余裕があるからこそ丁寧に対応でき、トラブルなどの悪化を防ぐことができます。

結果、本当の意味での第Ⅰ領域の増加も阻止できます。

 

新人先生

「計画的に」ってのが、なかなか難しいのです…。

きょういち

そのためにも「仮想締切」の考え方を取り入れてみましょう!

 

仮想締切とは、自分自身で本来よりも少し手前に締め切りを設定することです。

締切日の図

仮想締め切りを設定することで、余裕をもって業務を進めることができます。

そうすると浮いた時間が次の業務の仮想締切を早めることにつながり、好循環が生まれます。

 

▼仮想締切については、以下の記事でも紹介しています。

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▼仮想締切を活用したタスク管理については、こちらの記事もどうぞ!

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新人先生

これで業務は計画的に進められそうです!

でも本校は緊急のトラブルも多くて…。

きょういち

緊急のトラブルも大きな視点で見れば、第Ⅱ領域に移すことができますよ!

 

体調不良や突然の怪我などは、第Ⅱ領域には移せません。

しかし、トラブルなどについては第Ⅱ領域を強化することで減らしていくことができます。

 

例えば

  • 安心・安全な学級づくり
  • 対話のある授業
  • 高圧的でない生徒指導のあり方を考える
  • 生徒が自信を持てる教育活動を実施していく

など、本質的な部分をしっかり考えていくことで、トラブルは限らなく減らせます。

 

日々トラブルに追われている学校は、生徒への信頼関係の構築の仕方など悪循環に陥っていないか考えてみることも大切です。

きょういち

「緊急で重要なこと」を「緊急でなく重要なこと」にシフトさせ、好循環をつくっていきましょう!

 

「緊急で重要でないもの」を断る勇気を持つ

新人先生

重要な業務については、計画性や教育の本質が大切なのですね!

では、重要でないものにはどのように対処すればよいのでしょうか。

きょういち

それは「重要でないことを断る勇気を持つ」ことです。

 

先に紹介した計画的な業務実施によって、第Ⅰ領域をできるだけ第Ⅱ領域に移します。

これができたら、残りの第Ⅰ領域は本当に緊急のものです。

それ以上は、時間を捻出することはできません。

 

そこで、第Ⅲ領域(緊急で重要でない)をいかに削るかを考えます。

 

例えば、以下の業務はあなたの仕事でしょうか。

第Ⅲ領域の例

これらは自分で自分に同意をして行う業務とは別のものと考えてください。

本来、他の先生の業務であるにも関わらず、本人が手一杯であったり、年上だったりという理由で理不尽に押し付けてくるような業務のことです。

 

初任の頃は、何でも学びと受け入れて取り組むこともあるでしょう。

実際にすべての業務が教員にとって必要なスキルであり、学びになります。

しかし、ある程度の経験を積めば、ただの雑務の押し付けです。

 

マネジメント能力の高い先生は、他の先生の様子をよく見ます。

そしてスキルアップにつながる業務を適切な量で振ってくれるでしょう。

 

しかし、ただ自分が楽をするために業務を降ろしてくる人もいます。

そのような場合には、しっかりと断り、重要な仕事に時間をかける努力をしていきましょう。

 

自分が一番貢献できる分野を明確にする

新人先生

でも、なかなか断りにくいですよね…。

きょういち

「自分の役割を明確にし、自信を持って業務に当たる」ことです!

 

第Ⅲ領域が断りづらい場合には、そもそも自分勝手な仕事の押しつけを受けない存在になることです。

  

そのために、自分にしかできない強みを磨きましょう。

  

強みの例

 

他にも学校それぞれに強みとなる業務はたくさんあるでしょう。

ここでのポイントは

  • 誰でもできるわけではない
  • その業務で多くの先生が恩恵を受けている

ということです。

 

そのような業務をしていると、雑務を依頼されることが少なくなります。

むしろ

「◯◯さん、探究で忙しいから私やっておくよ!」

なんてことのほうが多いかもしれません。

 

ただし、その代わりに業務自体の負担は大きいでしょう。

だからこそ、その強みは自分が価値を感じている業務でなければなりません。

 

  • 重要なこと
  • 生徒の成長につながること
  • 自分がやりがいを感じること

 

このような業務で強みをつくり、それ自体が第Ⅱ領域となる。

そうすることで、負担感を減らしながら第Ⅲ領域を削ることができるのです。

 

▼自身の強みの見つけ方については以下の記事でも紹介しています。

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「緊急でなく重要でない」ものからは全力で逃げる

きょういち

最後に第4領域(緊急でなく重要でない)からは全力で逃げましょう。

 

職員室内で興味のない無駄話や管理職・教育委員会への批判(悪口)などを耳にすることはありませんか?

このような愚痴などは、疲労が溜まります。

 

もちろん、ちょっとした雑談は気分がリフレッシュされ業務が捗ることもあります。

また、雑談の中から新しい教育的な視点が見つかることもあるでしょう。

 

しかし、自分の時間が奪われていると感じる場合には、そのような話に加わらないことがおすすめです。

場所を変えて仕事をするなど、自分の時間を確保できるよう対策を立てましょう。

 

新人先生

ネガティブな会話からは、全力で逃げます!

きょういち

人間関係だけでなく、意味のない業務の見直しを図ることも重要な視点です。

  

もう一つの第Ⅳ領域は、形骸化された意味のない仕事です。

  • 生徒の成長につながらない提出が目的の宿題
  • 全員合格するまで生徒を集めて行う追試
  • 徹底させる暗唱
  • 改善に活かされないアンケート調査

など

自分で自分の首を締めている業務はありませんか?

 

それらは本当に生徒の成長につながる重要なものでしょうか。

自分でコントロールできるのであれば、緊急のものでもないはずです。

 

そのような業務について、本来の価値を改めて見直したり、廃止したりすることも重要です。

そうすることで、第Ⅳ領域も第Ⅱ領域に移行していくことが可能になるのです。 

 

ときに管理職に相談する

職場の人間関係では、どれだけ話に加わらないようにしても、同じ空間にいることで作業に集中できず時間が奪われることがあります。

 

  • 教育委員会、文科省、管理職への文句
  • ゴシップネタで盛り上がる
  • 息抜きのレベルを超えた雑談
  • パワハラ、セクハラ、モラハラにもなりうる発言

どの職場にも一定数はいるものです。

教職の現場ともなれば、余計残念な気持ちになります。

 

多くの先生方が困っているようであれば、管理職に相談することも一つの手です。

管理職は、職場環境を整えていくことも大切な仕事の一つです。

相談をすることで改善が見られる場合もあるでしょう。

 

また、本質的でない無駄な業務が多いようであれば、そちらも思い切って相談してみましょう。

その際はより良い代案を一緒に持っていくことで、管理職の先生も動きやすくなります。

自分自身のためはもちろん、学校全体で第Ⅳ領域を減らしていく視点も大切です。

悩んだときは一人で抱え込まず、管理職や信頼できる主事・主任に相談をしましょう。

 

まとめ:自律した業務仕分けを行い、業務効率と職能成長につなげよう

今回は、業務効率と職能成長のための仕事の進め方として、業務の優先順位について紹介しました。

 

最優先すべきは

緊急でなく重要なこと

に時間をかけること。

 

自分の価値観に従って、よりよい教育のための教育本質的な業務を行う。

 

ここに集中をすることで業務改善が進み、自身のスキルアップも行えます。

そして何より、教職の本来の業務に集中することで、楽しさや喜びを実感することにもつながります。

 

あらためて「緊急度」と「重要度」のフレームを確認しましょう。

マトリクス
7つの習慣(2014)をもとに筆者作成

 

第Ⅱ象限の時間を増やすためには、他の象限の業務をいかに減らすかがポイントです。

第Ⅱ領域に専念するためのポイント

 

  • 仮想締切の考え方などを活用し計画的に業務を進めることで、第Ⅰ領域を減らす。
  • 自分の強みを強化することで、余計な仕事になりがちな第Ⅲ領域を減らす。
  • 意味のない人間関係や業務からは全力で逃げることで、第Ⅳ領域を排除する。

 

これらを意識することで第Ⅱ領域の時間は、かなり確保されるでしょう。

 

第Ⅱ領域の時間を取れば、業務改善とスキルアップにつながります。

それは、さらに第Ⅱ領域に集中することにつながります。

 

きょういち

この好循環を生むことができれば、教職はもっと楽しくなります。

 

まずは自身の業務を4象限に分けて書き出してみてもよいでしょう。

 

  • 生徒の成長を考え、教師としての本来の仕事を楽しむ。
  • 仕事だけではなく、個人の時間も楽しむ。

今回の記事が先生方の有意義な時間の使い方に一役買えれば嬉しいです。

 

▼今回の記事に興味を持ってくださった方は、こちらに記事もどうぞ!

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参考・引用文献
  • 文部科学省(2021).「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて(審議まとめ)
  • スティーブン・R・コヴィー(2014).完訳 7つの習慣 人格主義の回復 キングベアー出版

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