自分の一番得意な分野を見つけることが、次のステップかもしれませんね!
職員室を見渡すと、
- とても授業が上手い先生
- 分掌業務が早くて正確な先生
- 生徒の気持ちがよくわかっていて支援が上手な先生
など、一目置かれている先生方がいます。
教員の仕事は多岐にわたり、どの業務もオールマイティに行うことが求められます。
しかし、中堅にもなると自分の強みをしっかりと把握し、得意を活かすことでその分野の業務を引っ張っていく存在になる必要があります。
今回は、学校運営を行うにあたって重要な「自身の強みの発見」について、その方法を3つ紹介していきます。
校内研修でも使えるアイデアですので、自身で試すだけでなく複数人で取り組んでみても面白い内容です。
自分の強みを活かせば、教職がもっと楽しくなりますし、生徒の成長と学校の発展にも貢献することができます。
ぜひ最後までご覧ください。
高校の数学教員として10年以上教職に携わる。
内容を教えるのではなく、学び方を教えるをモットーに授業を展開。
「学び続ける教師像」を目指し、日々新しい教育についてインプットと実践を行っている。
目次
オールマイティが求められる教員
教員の仕事って、授業以外にも事務作業、面談、外部とのやり取りなど多岐にわたりますよね。
そうですね。
だから、ある程度のオールマイティさが求められる職業です。
教員の仕事は、多岐にわたります。
- 担任業務
- 授業
- 校務分掌
- 探究学習、キャリア教育、金融教育、人権教育、主権者教育など
- ICTの活用や運用
- 文書作成
- 報告書
- 研究論文
- 生徒指導
- 生徒会活動
- 外部との連絡
- (部活指導)
上記に上げた業務は一例で、その他にもたくさん思いつくでしょう。
業務の主担当は決まっているものの、全教員がすべての業務に関わっていくことが求められます。
ですから、教員になりたての頃は、オールマイティに業務を行うことの大変さを感じることも多いでしょう。
しかし
- 生徒会の担当でないからと言って、行事の仕事をしない。
- 進路指導部ではないからといって、生徒の進路相談にのらない。
そのようなことはできません。
学校全体を把握するマクロな視点が、目の前の生徒の成長につながるミクロな教育活動につながっていくこともあります。
そのため、幅広い業務を経験することは非常に大切な通過点でもあるのです。
次のステップは強みを伸ばす
ただ教職経験も数年が経ち、それなりに実績が積まれてくると、自分の得意・不得意が見えてきます。
そしてミドルリーダーともなれば、初任者の頃のようにすべての業務に広く浅く取り組むのではなく、自身の武器を伸ばすことで学校全体をより良く変化させる立場となります。
例えばICTを活用した授業が得意であれば情報担当につき、先生方の業務改善に貢献する立場となるでしょう。
キャリア教育や生徒のファシリテーションが得意であれば、探究学習のカリキュラム開発に携わるかもしれません。
また、学校の動き全体を捉える力があれば、教務担当として学校全体を調整できます。
生徒の気持ちを敏感に感じ取り寄り添った支援ができるなら、教育相談を担当することも考えられるでしょう。
このように基本業務を当たり前にこなす前提で、自分の強みを伸ばし、学校への貢献を進めていくことがミドルリーダーには求められるのです。
強みを発揮するためには、教員生活のはじめに身につけたオールマイティな能力が必要不可欠です。
ここがないと、自分の分掌のことしか考えない発言をしたり、他者の仕事への影響を考えずに業務を進めることになってしまうからです。
ですから、まずは業務全体を把握すること。
そして次のステップとして、幅広い業務の中から自分の強みを強化していく視点が必要になってくるのです。
強みを知るためのワーク3選
でも自分の強みってよくわかりません…。
では、自分の強みを知るためのワークをやってみるのはどうでしょうか。
ここからは自分の強みを見つける方法を紹介します。
自分自身で取り組むことはもちろん、研修で活用することで、学校運営にも活かせる内容です。
個々が強みを発揮できる組織は強いですから、ぜひ試してみてください。
本記事では、強みを知るためのワークとして、以下の3つの視点から紹介していきます。
振り返りワーク
まずは、これまでの教職経験を自分自身で振り返るワークです。
ワークの手順は次のとおりです。
きょういちさんの場合どのようになりましたか?
例として紹介してみましょう!
例えば、次のように取り組んでみます。
その一つをさらに次のステップで掘り下げてみましょう。
今回は一番上の進路実績を深堀りしてみます。
このように自分の実践や他の先生、学校の状況などで要因を考えてみます。
最後に、これらをキーワード化していきます。
このように上手くいったことを洗い出し、それぞれについてその要因を言語化・キーワードしていきます。
すると、自信の強みは
- 書籍や外部で学び、新しい教育の視点を取り入れること
- 他の職員と考えを共有し、協働的な働きかけをすること
などが見えてきます。
このように自身の強みを再認識することで、特定の分野のスキルを伸ばしていくこともできますし、強みを活かした新たな業務に取り組むこともできます。
うまくいったこと、そこに至った自分の行動が強みなのですね!
また、このワークは自身で行うだけでなく、職員研修などでも活用できます。
先生方みんなで行うと、学校全体の強みが可視化されます。
それは学校全体の教育活動や生産性の向上、適切な業務配置などにもつながるでしょう。
メンター研修がある学校であれば、若手の先生が自信を高めるきっかけにも使えます。
ワークシートをダウンロードできますので。ぜひアレンジして活用してみてください。
こちらのワークシートをPDFファイルとしてダウンロードできます。
フィードバックの活用
2つ目の強み発見方法は、他者からのフィードバックです。
評価には、自己評価と他者評価があります。
他者からの評価で代表的なものは、毎年行われる人事評価です。
自治体によって異なりますが、当初面談・中間面談・最終面談など、管理職と業務について対話を行う時間があると思います。
ここでの評価は、まさに自分の強みです。
例えば
「生徒主体の授業をしてくれているので、引き続きお願いします。」
と言われれば、
授業力があなたの強みかもしれません。
「HP発信を頻繁に行ってくれるから、広報が充実しているよ」
と言われれば、
情報関係や学校の特色づくりなどが強みになるでしょう。
「探究活動に前向きに取り組んでいてくれて、助かるよ」
と言われれば、
外部との連携や新しい教育にチャレンジする力が強みになります。
管理職からのフィードバックを活用することで、自信の強みを改めて認識することができます。
確かに管理職や先輩に期待されると、その分野をさらに頑張ろうと思えます!
管理職にかぎらず、身近な先輩の先生から日常のちょっとした評価をもらうことも強みの発見につながります。
主事・主任の先生からのフィードバックは、一緒に業務を行っているからこそ、近い目線で強みをみつけてもらえるでしょう。
「行事が円滑に進んで助かるよ」と言われれば、
周りの先生方の調整が強みです。
「仕事が正確でミスがないね」と言われれば
入試業務など教務の仕事など繊細な業務が強みになります。
このように何気ない一言も自分の強みを発見する機会になるのです。
身近な先輩の何気ない一言も参考にして、強みを磨いていきます!
ストレングス・ファインダーの活用
最後は、客観的な指標を活用した強みの発見です。
ここまで、自分自身で強みを振り返ること、他者からのフィードバックを参考にして強みを見出すことを紹介してきました。
これらはどちらも主観的に強みを捉えていく方法です。
客観的な強みを発見したい場合には、心理尺度を活用するのも一つの手です。
自身の強みを発見する有名なテストとして、クリフトンストレングス(ストレングス・ファインダー)があります。
クリフトンストレングスとは、177問の質問に答え、才能(本来の考え方、感じ方、行動のパターン)を測定し、それらを以下の4つの領域・34の資質に分類するテストです。
<思考力> | <人間関係力> |
分析思考 原点思考 未来志向 着想 収集心 内省 学習欲 戦略性 | 適応性 運命思考 成長促進 共感性 調和性 包含 個別化 ポジティブ 親密性 |
<影響力> | <実行力> |
活発性 指令性 コミュニケーション 競争性 最上志向 自己確信 自我 社交性 | 達成欲 アレンジ 信念 公平性 慎重さ 規律性 目標志向 責任感 回復志向 |
このようなテストを通して自身の強みを客観的に認識してみましょう。
私の場合を例に、導かれた強みと教職を結びつけてみましょう。
テスト結果は、「学習欲」「戦略性」「規律性」「分析思考」「最上思考」が上位5つでした。
「学習欲」の場合、確かに探究学習など新しい教育活動について書籍やセミナーで学ぶことが全く苦ではありません。
そのような経緯もあり、総合的な探究の時間が開始されたとき、これまでの総合の時間のカリキュラムを発展させるためのプロジェクトチームの一人として、学校運営に関わりました。
また「戦略性」や「規律性」については、3年間を通して生徒の実現させたい未来に向けてどのような教育活動を行うべきか戦略を立て、そこに向かって1年生から計画を立てていくようなことも好きです。
「分析思考」では、生徒の学習量や模擬試験のデータなどを分析し活用できるよう整えることも好きです。
「最上思考」では、昨日の自分よりも今日の自分がより良くなっている感覚を大切にしています。
これは「学習欲」との結びつきもあり、学び続ける教師を常に目指していることにもつながります。
このように、自分の強みをテストで客観的に評価することで、自分の性格を再認識したり、新しい発見を得られることもあります。
面白そうなので、ぜひやってみたいです!
これも、職員室のみなさんで行ってみたら、よい研修になりそうですね!
まとめ:強みを再確認して教職をもっと楽しもう!
今回は、自分の強みを見つけるためのワークを3つ紹介しました。
教員の業務は多岐にわたり、若手の頃はそのすべてを一人前に行うことが求められます。
一方で、中堅にもなると、基本的なスキルは当たり前として扱われます。
代わりに広く浅く(ある程度深く)ではなく、自身の強みとなる部分を強化していくことが求められます。
よりよい学校を創り上げるためには、一人ひとりが得意を発揮することで、学校の強みをつくったり、弱みを改善したりすることが必要だからです。
ですから、学校運営の中核となるミドリーダー世代は、特に自身の強みを再確認することが必要でしょう。
そのためのワークとして以下の3つを紹介しました。
まずは、自分自身でこれまでの教職経験を振り返り、その過程で獲得した強みを洗い出します。
ワークの手順は次の3ステップです。
自分の強みを最終的にキーワード化することで、自分が発揮できる場面を明確にできます。
2つ目の他者からのフィードバックでは、管理職や主事・主任、同僚などからの評価を元に自分の得意を再認識します。
人事面談に限らず、普段の業務の中で頼られることがあれば、それはみなさんの強みとなる部分です。
そして、自分自身で強みを見つけることが難しい場合には、客観的なテストを活用することもよい方法です。
有名なテストとして、クリフトンストレングスがあります。
テストを行うことで、新たな発見を得たり改めて自身の強みを認識したりできるでしょう。
複数の方法を活用すれば、自分の強みが見つかりそうです。
仕事をしていれば、ときに嫌なことや苦手なこともあります。
しかし、自分の得意や強みを発揮できる業務はあまり苦になることはありません。
得意分野では、学校運営や生徒の成長のためによりよい教育を提供していくこともできます。
なにより、本来自分がやりたかった教員としての仕事を行うことでもあります。
近年、教員の仕事が多様化し、多くの業務と責任が求められるようになりました。
そのような時代のなかで、教員を目指した原点に立ち返り、ぜひ教職を楽しむ視点を持ち続けたいものです。
そのためにも、自分の強みを再認識し、それらを校務で発揮してみてはいかがでしょうか。
今回の記事がみなさんの教職生活を充実させ、勤務校の発展にもつながれば嬉しいです。
▼今回の記事に興味を持ってくださった方は、こちらに記事もどうぞ!
周りの先輩を見ていると、特化した能力があってすごいぁと思ってしまいます。