
YouTubeでの配信はメリットがたくさんあるので、ぜひ挑戦してみましょう!
今回は、自作動画を教育活動で活用するにあたって第4弾の記事となります。
「まずは動画の作り方を知りたい!」という方は、これまでの記事からご覧ください。
▼第1弾の記事では、授業で動画を作成するためのメリットを紹介しています。
▼第2弾の記事では、簡単に解説動画を収録する方法を紹介しています。
▼第3弾の記事では、収録動画を編集して視聴者にとって見やすくする方法を紹介しています。
動画を作成したら、次は視聴のために配信をしていく段階になります。
このとき考えておくことは
- 生徒にとって見やすいプラットフォームは何か
- 動画の管理が煩雑にならない方法は何か
視聴者である生徒と配信者である教員の手間をできるだけ取り除くことです。
この2つを簡単に解消してくれるのが、YouTubeです。
普段から視聴側として活用している先生方も多いかと思いますが、配信側の経験をされている先生は少ないのではないでしょうか。

今回は、初めてYouTube配信を行う先生に向けて、一から手順を紹介をしていきます。

ノウハウだけではなく、なぜその方法を選択するのかまで紹介してくれるのが「まなびて」流ですね。
高校の数学教員として10年以上授業を行っています。
ただ学習内容を教えるのではなく、「学び方を教える」をモットーに授業作りをしています。
ICTを積極的に活用し、生徒にとって効果的な学習方法や授業展開を日々研究しています。
授業や学校運営(外部発信)のための動画作成やYouTubeでの配信も、日々の業務で行なっています。
目次
YouTube配信のメリット
動画配信の方法はいくつかあります。
Googleと契約をしている自治体であればGoogleClassroomで直接配信ができます。
MicrosoftであればTeamsなどの学習支援システムがあります。
こちらは大変便利なツールですが、生徒が過去の動画を探し出したり、教員が動画を管理したりする際に、やや煩雑になってしまうこともあります。
そこで、ほとんどの人が普段から利用しているプラットフォームであるYouTubeを利用します。
誰もが使ったことがある
最初のメリットとして、誰もが使ったことがあるプラットフォームであることです。
生徒は操作に慣れていますので、早送り・一時停止・画質の変更など、学習に活用するハードルが下がります。
また教員にとっても汎用性があり、学校が変わっても対応できるメリットもあります。
Google ClassroonやTeamsといった学習支援システムは、多くが自治体での導入でしょうから、高校教員の場合は私立や他の自治体への転職を除いてあまり変化はないかもしれません。
一方で義務教育の先生であれば、市をまたいでの異動があるため、新しいプラットフォームでのやり方を学ぶ手間が省けます。

YouTubeは今や立派な学習教材です。
普段エンタメのみで利用している生徒にも、学習に使えることを知ってもらう機会になります。
目次をつけられる
動画ファイルをそのまま再生するのでは、どこからどの内容が始まるのかが分かりません。
YouTubeでは、概要欄に目次を作成することができます。
ですから、生徒は視聴したいところに簡単にスキップをすることができます。
一方で、コロナ禍の一斉休校中に、大学では講義代わりの動画を早送りやスキップ視聴して単位を修得しようとする問題が話題にあがりました。
履修という観点からは考えなければならない問題かもしれません。
ただ私自身の考えとしては、平常時の教育活動で活用する動画教材は早送りもスキップもありです。
生徒によって必要な解説は異なりますし、聞き取りやすいスピードも異なるからです。
効率よく学習ができることが第一で、あくまでメインは学校での対面授業です。
- 動画で予習をしてきて、協働学習型の授業でしっかり理解をする。
- 解説動画を利用して自分で学習し、要点を整理した上で直接質問に行く。
このような学習に利用することで、生徒も教師も時間を奪われることなく効果的に学習を進めることができます。

「動画をしっかり見たか」などの指導は本末転倒ですね。
教員側が、教材としての価値を高める努力が必要かもしれません。
管理がしやすい
学習支援システムを活用すると、動画はクラウド上に保存されます。
例えばGoogle Classroomを例にします。
Classroomでは、クラスを作るとGoogleドライブにそれぞれのクラスごとのフォルダが作成されます。
提出課題や共有したファイルなどはそのフォルダ内で管理されるのです。
一度アップしたものを削除したり訂正したりすることは少ないですが、動画が保存されている場所がまちまちだと、時間的な管理コストがかかります。
一方でYouTubeで管理をすれば、「YouTube Studio」で一括管理ができるので大変便利です。
視聴履歴がわかる
YouTubeは収益を伸ばすためにアナリティクス(視聴分析)を無料で使用できます。
YouTuberの方々は、どこで動画から離脱が起きたのかを確認して、コンテンツの魅力改善に使用しています。
教育現場での活用法を考えてみると、試験の解説動画などでは、明らかに一部に視聴が偏っている時間帯があったりします。
その部分は、解説を見て復習をしたい生徒が多い大問であることがすぐに分かります。
デジタル採点を活用していることから、正答率が低い問題はすぐに見られます。
それに加えて、模範解答の文章のみを活用し独学で理解できる問題と、解説動画まで欲しい問題との微妙な違いが分かるのです。
結果、類題を復習に活用したり、次年度の授業改善に活かしたりすこともできます。
また、単純に視聴回数が表示されるのもYouTube配信のよいところです。
復習動画であれば、どのくらいの生徒が復習に使ったか。
予習動画であれば、準備をしっかり行えているか。
数字ですぐに分かります。
ただし、数字が少ないから指導するのではなく、その結果を見て授業の方法を変えていく。
教員側のフィードバックとして活用していきましょう。

傾向が見えるのは面白いですね!

1分程度で確認できるので、費用対効果がとてもよいですよ!
外部発信にも使える
こちらは教材動画の話題ではありませんが、外部発信ではYouTube配信の選択が必須です。
近年では学校も外部に向けて情報を発信することが大切です。
ほとんどの学校はホームページを持っていますが、SNSアカウントや公式Youtubeを開設している学校は少ないと思います。
特に動画では、文章では伝えきれない細かい説明をわかりやすく紹介できます。
など活用場面は多岐にわたります。
生徒への配信に関しては、ClassroomかTeamsかなどの学習支援ツールによる操作性で悩む必要がないYouTubeの汎用性について紹介しました。
一方で外部の方は、そもそも学習支援ツールにはアクセスできません。
閉じたプラットフォームではなく、開かれたプラットフォームとしてYouTubeは最適なのです。
YouTube配信の方法を一から解説

YouTubeで動画を管理するメリットがよくわかりました!
早速挑戦したいです!

初めての方でも分かるように、一から紹介していきますね。
Googleアカウントを準備する
普段からYouTubeを見ていれば、アカウントを持っていると思います。
まずは、配信のための専用アカウントを作りましょう。
アカウント作成をしたことがある方は次項へどうぞ。

↑YouTubeを開きログインをします。

↑「別のアカウントを使用」を選択します。

↑普段使っているアカウントでログインされている場合は、アイコンをクリックします。

↑「アカウントを切り替える」を選択します。

↑「アカウントを追加」を選択します。

↑上記のいずれかで進めていくとアカウントの追加ページに移ります。
「アカウントを作成」から授業用アカウントを作っていきます。

↑「個人で使用」を選択します。

↑アカウント所有者の名前を入れます。

↑生年月日を入力します。

↑使い勝手がよいのでGmailアドレスを取得します。

↑「自分でGmailアドレスを作成」を選択します。

↑好きなアドレスを設定します。

↑パスワードを設定します。

↑再設定用メールアドレスは「スキップ」でもOKです。

↑アカウントを確認して「次へ」を選択します。

↑利用規約を読んで先に進みます。

↑新しいアカウントでYouTubeにログインした状態になりました。
動画ファイルを用意する
配信のための動画を用意しておきます。
▼動画の作成方法については、前回までの記事をどうぞ。
チャンネルを開設する

初めての動画配信の場合、まずチャンネル開設をして配信者としての設定を行います。

↑トップページから「作成」を選択します。

↑「動画をアップロード」を選択します。

↑「名前」を設定して「チャンネルを作成」をクリックします。
こちらの名前が視聴者に見えるチャンネル名になります。

↑チャンネルが作成されました。
動画をアップロードして設定を変更する

↑あらためて「動画をアップロード」を選択します。

↑動画のアップロードページが表示されます。

↑フォルダから動画を選択し、ドラッグして追加します。

↑「タイトル」を入力します。

↑「説明」を入力します。
こちらに目次として時間を入れることで、視聴者は見たいところに動画をスキップさせることができます。
時間の入力は、1時間22分33秒の場合「1:22:33」のように入力をします。時間と目次の間は半角スペースを開けましょう。

↑サムネイルの自動作成を行います

↑一般公開をして収益化するわけではないので、タイトル部分など動画の一部を設定しておきます。

↑子ども向け動画であるかの設定をします。
高校生向けであれば子ども向けでなくてもよいかと思います。
子ども向けに設定するとコメントができないなどの制限が加わります。
授業で活用するためのコメントを入力させたい場合などは、子ども向けにしないようにします。

↑収益動画ではないので、終了後の関連動画設定は行わず「次へ」でOKです。

↑動画をアップロードすると自動で動画チェックが始まっています。
基本は問題ないので「次へ」で先に進みます。

↑最後に公開設定をします。必ず「限定公開」を選択しましょう。
これで、リンクを知っている人だけが動画を見ることができます。
「公開」にすると全世界の人が動画を見れるようになってしまいます。

↑動画のアップロードが完了しました。
リンクを学習支援ツールで投稿しよう

動画のリンクをGoogle Classroomなどの学習支援ツールに貼り付けて、生徒がアクセスできるようにましょう!
動画を学習支援ツールに直接アップするのでなく、リンクを貼り付けて投稿します。
そうすることで、動画を削除する場合に、学習支援ツールで探さなくてもYouTube画面で削除すればよいので手間がかかりません。
今回はGoogle Classroomを例に紹介します。

↑YouTube Studioの画面で対象動画のオプションをクリックします。

↑「共有可能なリンクを取得」を選択します。

↑リンクがコピーされました。

↑ClassroomのYouTube挿入アイコンをクリックします。

↑先ほどコピーしたURLを貼り付けて検索をかけます。

↑動画が見つかるので「動画を追加」をクリックします。

↑動画のリンクが挿入されました。
本文にURLを貼り付けるとタブとしてYouTubeが開かれます。
今回のようにYouTubeリンクから挿入をするとClassroom上で動画が再生されます。

これでYouTubeでの学習動画配信は完璧ですね!
アナリティクスを見てみよう

視聴履歴の分析方法も簡単に紹介しておきます。
「YouTube配信のメリット」の項でもお伝えした、視聴履歴からフィードバックを得る方法も紹介します。
繰り返しになりますが、収益を目的としていないので、細かい分析ではなく授業改善レベルで簡単に分析をしていきます。

↑対象動画の「アナリティクス」を選択します。

↑アナリティクス(分析)のページが表示されます。
総再生回数、視聴時間、何月何日にどのくらい視聴があったか、今現在何名が見ているか、などが分かります。

↑フィードバックに活用するのは、「視聴者維持率」です。

サンプル動画なので、まだ表示されていませんね。

私自身のリアル動画教材の分析を見てみましょう。

↑一つ目は多くの動画のパターンです。
当たり前ですが開始直後は100%の視聴で、ところどころ見ている生徒が多かったり少なかったりします。

↑たまにこのようなグラフもあります。
一箇所、飛び抜けて100%を大きく上回っています。
難しい問題のために一度で解説が理解できず、繰り返し視聴したことが推測できます。
もしかしたら、解説が下手だったのかもしれません…。
このように、視聴者維持率を見てみると
- 動画作成の目的を達成できているか
- 改善点はどこか
など、分析をもとに授業へ活かしていくこともできるのです。

分析まで行えるのは、YouTubeだからこそですね!
まとめ:YouTube配信を活用して、効果的な授業設計をしよう!
今回は、作成した授業動画をYouTubeで配信するメリットと手順について紹介しました。
動画を学習支援ツールに直接アップロードすると、削除のときに探す手間があるなど管理が煩雑になります。
一方でYouTubeを使って配信をすることで、管理コストを最小限にすることができます。
他にも以下のようなメリットがあります。
せっかく手間をかけて作成した学習動画です。
より生徒にとって学びやすく、教員にとってもメリットが最大化されるようにしていきましょう。
動画配信による教育活動で学びの幅が広がれば、モチベーションの継続にもつながります。

同じやるなら、一石二鳥・三鳥をねらっていく。
教育現場でも必要な考え方ですね!

過剰な労働時間を減らしながら、質の高い教育をする。
楽しみながら生産性を高めていきましょう。
▼今回の記事に興味を持ってくださった方は、こちらの記事もどうぞ!
授業で使う動画を作成したのですが、配信をするためにYouTubeを使おうと思っています!
配信側は初めてなので、手順を教えてください!