プライベートで活用しながら、公務にも応用させようと研究中です。
生成AIは様々な業種で話題になっています。
もちろん教育現場も例外ではありません。
特に生徒の使用については、多くの議論がされているところです。
しかし、学校内を見渡すと
「ChatGPTってなに?」
「生徒に使わせたら勉強しなくなるよ」
などの声も耳にします。
しかし、これからの時代、新しく登場した技術を無視し続けることはできません。
まずは、教師が積極的にチャレンジをして、正しい活用法を生徒に伝えていくことが重要です。
今回の記事では、先生方が生成AIを使ってみるきっかけとして、学校現場で生成AIを使うメリットを3つ紹介していきます。
具体的な活用法や操作方法は、専門家の方々がたくさん情報発信をしていますので、ここでは「学び続ける教員」としての在り方を考えてみたいと思います。
ぜひ生成AI活用の足掛かりとしてみてください!
高校の数学教員として10年以上教職に携わる。
内容を教えるのではなく、学び方を教えるをモットーに授業を展開。
ICT活用に意識的に取り組み、最近はChatGPTを活用した業務改善や新たな教育活動を模索している。
目次
生成AIとは?
生成AIやChatGPTなどの言葉を耳にするようになりましたが、そもそもどのようなものなのですか?
まずは簡単に生成AIについて紹介しておきますね!
生成AI(または生成系AI)とは、「Generative AI:ジェネレーティブAI」とも呼ばれ、さまざまなコンテンツを生成できるAIのことです。従来のAIが決められた行為の自動化が目的であるのに対し、生成AIはデータのパターンや関係を学習し、新しいコンテンツを生成することを目的としています。
引用元:野村総合研究所 HP
有名どころでは
- ChatGPT
- ChatGPTを取り入れたMicrosoftの検索エンジンBing
- GoogleのBard
- 画像生成AIのMidjourney
- 教育界で有名なCanvaのアプリMojoAIによる画像生成
などが挙げられます。
これらは、言葉をそのまま入力したりプロンプト(ユーザが入力する指示や質問)を入れたりすることで、質問への返答や画像・動画・音楽の作成をしてくれます。
すごそうですね…。
そしてちょっと難しそう…。
初めはハードルがあるかもしれませんが、やってみると意外と簡単です。
ハードルを下げる意味も込めて、生成AI活用のメリットを見ていきましょう!
学校現場で生成AIを活用するメリット3選
さっそく教職において生成AIを活用するメリットを見てみましょう!
業務効率が上がる
やはり一番の使い道は業務効率を上げることです。
教職は一人当たりの仕事量が多く、大変忙しい職種です。
また個業と言われることもあり、割り当てられた仕事を個人で進めていくことが多いため、引き継ぎがうまくいっていないケースも見られます。
ですから、生成AIの活用が業務改善に大いに役立つのです。
例えば、以下のようなものが考えられます。
このように、使い方は多岐にわたります。
世界中の人々が生成AIを使って何ができるかを発信してくれています。
最近は教育業界でも見られますね!
これから多くの実践が出てくるのかもしれないってことですね。
単純作業や形式的な仕事をAIに任せることで業務改善を図る。
そして、生徒と向き合う時間を増やすなど人間にしかできない教育を行う。
そのためにも生成AIの活用は、教員にとって重要なスキルになるでしょう。
ただし注意として、生成AIによる出力が必ず正しいものではないこと、業務工程のすべてを担うことはできないことは念頭に入れておきましょう。
生成AIはあくまで作業時間を減らすイメージであると認識しておくとよいでしょう。
生成AIに何をさせるか、生み出したものをどう活用するか。
これらは人間の頭で考える必要があります。
生成AIは賢いので、入力の質に応じて返答を返してきます。
入力の仕方を学び、どうAIを活用するのか。
こららを意識することで、質の高い出力となり作業時間や自分の人生経験を膨大なデータが補ってくれるのです。
そしてAIの出力が必ずしも正しいとは限らないことを念頭に、出力結果を改めて人間が吟味して利用をしていくことも大切です。
AIで作業効率を高めつつ、教師としての資質・能力も高め続けましょう!
新しいことにチャレンジするマインドが身につく
次は新しい技術に触れること自体が、教師としての資質向上につながる点です。
近年の社会変化は目まぐるしいものがあります。
生成AIなどの情報技術はもちろん、社会情勢や経済など多くの事柄が予測困難な時代となっています。
しかし、学校教育はこの150年間大きな変化がありません。
文科省が降ろしてくる新しい教育を受け身の姿勢で実施するだけでは、多忙感が募るばかりで教職を楽しむことも生徒を成長させる活動を創ることも難しいでしょう。
ですから、生徒にこれからの社会を生き抜く力を育成するためにも、教員が主体的に新しいチャレンジをしていく必要があるのです。
でも学校現場は、前年踏襲型の働き方が染み付いています。
年功序列により、学びが報酬に反映されにくいシステムでもあります。
もちろん、制度としての改善も大事です。
でもまずは自分が楽しむ姿勢で取り組んでいきましょう。
組織的に学校改善を行うには時間がかかります。
まずは時代を敏感にキャッチできる人が新たな学びを得て、それらを生徒に還元していく。
結果、それらが正しい方向に向かっていれば学校全体も改善されていきます。
新しい技術に積極的に関わることで、チャレンジするマインドを教員が身につけることが大切なんですね!
新しい技術はもちろん、その学ぶ姿勢自体がよりよい教育へとつながるのです。
「わからない=怖いもの」で生徒の可能性を潰さない
最後は生徒が生成AIを活用することについてです。
現在では日常化したため、スマホやSNSを禁止すること自体が意味のないものとなりました。
しかし、過去にはこのような学校が当たり前に存在していました。
多くの学校が、正しい使い方を教えるのではなく禁止することによってトラブルを防ぐのです。
ChatGPTなどの生成AIについても、ガイドラインが出されるなど自由に使うことへの躊躇は見られます。
人はわからないもの、知らないものについては否定的な意見を持つものです。
そして、「わからないものは怖いもの」となってしまうのです。
その結果、便利なツールにもなりうる新技術を危険性の側面のみで判断してしまうのです。
これはある意味、生徒の可能性を潰してしまうのです。
探究活動を推進していると、このような高校生を全国でたくさん見かけます。
正しい使い方を考えさせるためには、教師も正しい使い方を知っていること。
得意でなくても、生徒とともに利用の仕方を考える姿勢を持つこと。
ぜひ、そのような教師でいたいものです。
生成AIを利用する際の注意点
生成AIなどの新技術に関わることの大切はよくわかりました!
でもやっぱり気をつけるべきこともありますよね?
もちろんです!
正の側面と負の側面をしっかり押さえて活用していきましょう。
教員がChatGPT等の生成AIを活用する際の注意点を簡単に紹介します。
個人情報を入れない
データ処理は非常に役立つ活用法です。
現在の大規模言語モデルのAIは、会話のような言葉は得意でも計算は苦手という特徴があります。
簡単な統計処理や膨大な記述を要約・分析するには大いに活躍するでしょう。
しかしその際に、生徒の個人情報と紐づいたデータを入力してはいけません。
特に成績などは絶対に入力しないようにしましょう。
情報が漏れてしまった場合には、秘密漏洩や信用失墜行為などに該当してしまいます。
アンケート調査などであれば、生成AIに分析させても問題ないでしょう。
ただし、その場合でも名前は入力せず、項目もABCなど置き換えることをおすすめします。
ChatGPTには、チャット履歴を残さないシークレットモードもありますが、個人情報の入力は厳禁です。
あくまで補助役、すべてを鵜呑みにしない
先ほども紹介した通り、生成AIは作業を短縮してくれるものであり、入力や出力結果の判断は人間が行うものです。
大規模言語モデルのAIは、インターネット上で学習した内容から高確率に一番正しそうなものを文章として生成しています。
ですから、すべてを正しいものとして安易に扱うことには注意が必要です。
そのため、出力結果は必ず自身で確認をしてから活用しましょう。
Bingなど検索エンジンに生成AIが搭載されている場合は、AIが引っ張ってきたサイトなどの参照元を調べることができます。
自身の知識で判断がつかないものは、1次情報にあたるなどの工夫も大切です。
著作権に注意する
ChatGPT等で作成したものについては、著作権が発生する場合としない場合があります。
(AIによって生み出される創作物の取扱い (討議用) 内閣官房 知的財産戦略推進事務局)
ただ自身の創作物への権利も大切ですが、心配なのは他者の著作権を侵害してしまうことです。
生成AIは、インターネット上の情報を学習しているため、著作権で保護されているデータを出力してしまう可能性があります。
そのため、作成したものを公開する際には十分注意が必要です。
一般的に業務改善に活用することが多いでしょうから、過度に心配する必要はありません。
学級通信の作成など生徒への配付物に活用する場合は、ネタ探しや構成などのヒントに活用し、文章自体は自分で仕上げていくことが望ましいでしょう。
それだけでも、一からすべてを作成するよりは圧倒的な時間短縮になるはずです。
自治体の方針を確認する
校務での使用の際は、自治体のガイドラインを確認しましょう!
文科省は生成AIのガイドラインを出しています。(生成AIの利用について 文部科学省)
文科省のガイドラインは、一般の学校が作るものと比較してよく練られています。
注意事項を記載しつつも、一方的な禁止をしているものではありません。
生成AIを活用する前には、必ず読んでおきたい資料です。
各自治体についても、ガイドラインを制定していることが多いです。
どのような使い方が許されているのか。
ご自身の勤める自治体や教育委員会が提示しているガイドラインにも目を通しておきましょう。
生徒の活用ルールを考える
最後に生徒の使用についてです。
本記事では、教員が生成AIを利用することについて書いてきました。
自分がわからないものは禁止する。
その反面、自分が使っていて便利なものは勧めたくなる。
このようなことはよくありますが、後者の姿勢は悪くはないでしょう。
しかし、生徒の学習場面で生成AIを活用させる際には、いくつか注意が必要です。
参考:教師のためのChatGPT入門 P19 を元に筆者作成
このように、生成AIには気をつけるべきこともあります。
「禁止する⇔すベて自由」の二項対立ではなく、生徒の成長につながる正しい活用法を模索していく必要があります。
多くの大学でもガイドラインを公表していますの参考してみるとよいでしょう。
また、ChatGPTを高校性が利用するには、保護者の同意が必要です。(2023年9月現在)
このような利用規約もしっかり把握しておくことが必要です。
自分が使えないと、ここまでの考えは回らないですね。
生徒の学習への効果的な活用のためにも、まずは僕自身が学ばないと!
その通りです!
だからこそ、学び続けることが大切なのですね。
まとめ:新しいことを面白がることが教師の学び
今回は、「学校現場でも活用したい!教員が生成AIを使うことのメリット3選」を紹介してきました。
新しい技術を活用することで、生産性が上がり大幅な業務改善につながります。
AIに任せられることは任せ、教師は生徒と対人間にしかできない教育を行なっていく。
このような時代が近づいてきています。
また、教員自体も日々学び続ける姿勢を持ち、挑戦し続けること。
これらが自身のキャリア形成にもつながるでしょう。
教師が学ぶことを放棄すれば、生徒も学校内で新しいことにチャレンジしようとはしません。
新しい技術を「わからない=怖いもの」とせず、生徒とともに正しい活用法を模索できる教師でいたいものです。
ただ、生成AIの活用には、いくつか注意すべきこともありました。
新しい技術について全くわからないのもよくないですし、かと言って何も考えずに使用するのも危険です。
正しい使い方を学びながら、自分でも積極的に実践を積んでいきましょう。
教師は生徒にとって学びの手本となる存在です。
しかし大人でも学ぶことは難しいものです。
だからこそ、まずは楽しんで使ってみる。
新しいことにワクワクしてみる。
そのような姿勢が、学びを伝える教師としてのマインドであると思います。
今回の記事で、みなさんが少しでも生成AIに触れてみようと考えていただけたなら嬉しいです。
まだまだAI教育は始まったばかり。
ともに学んでいましょう!
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「生成AI」最近よく聞きますよね。
実際に使われていますか?