学級文庫は各担任の味が出て面白いですよね!
学級経営や授業にも活かせる選書法について、紹介してみますね。
小学校などでは、課題図書などを含む学級文庫を設置している先生も多いのではないでしょうか。
一方で、中学校や高校では珍しい光景かもしれません。
学級文庫は、図書室の選書とは異なり、担任が自らの想いで選書をできるスペースです。
- 日々の教育活動の中で伝えたい想い
- 生徒に知ってもらいたい社会のこと
- 生徒の成長につながる考え方が得られるもの
このような担任の想いをダイレクトに反映できます。
そこで今回の記事では、担任の想いが強化され、その想いがより生徒に伝わるための、学級文庫の役割と考え方を紹介していきます。
学級文庫を通して、学級経営や授業運営をよりよくしていく手立てになれば嬉しいです。
高校の数学教員として10年以上授業を行っています。
ただ学習内容を教えるのではなく、「学び方を教える」をモットーに授業作りをしています。
学級経営や授業開きでは、対話的な学びを実現するための人間関係づくりも大切にしています。
目次
学級文庫を設置することの是非
学級経営をしていると、生徒へ伝えたい想いがたくさんでてきますよね。
しかし、教科担任制である中学校・高校では、SHRやLHR(学活)くらいでしか担任の言葉を全体に向けて発信することはできません。
その貴重な時間も、ダラダラと話をしていては内容がなかなか伝わらないことも多いです。
そのようなこともあり、担任が想いを伝えていく時間はかなり限られてしまうのです。
想いを伝えるには、それなりに時間がかかります。
そのため学級通信を活用して想いを伝えることもあるでしょう。
▼学級通信についてはこちらの記事でも紹介しています。
学級通信も書いてみたいのですが、他の業務との時間配分もあって続けられる気がしなくて…
学級通信より簡単に想いを伝えられる手段として、学級文庫がおすすめです!
担任が短時間で想いを伝える。
そのとき、生徒に想いが伝わるかどうかは大切な要素です。
相手が興味を持つ、納得をするには
- 担任の自分本位、好き勝手な話ではないか
- 何か根拠がある話なのか
- これからの人生において本当に必要な話なのか
このような視点が必要だと考えています。
そこで、自身の想いを強化するための学級文庫を設置しています。
今回の記事では、その学級文庫の選書の考え方について紹介していきます。
でも、そもそも自分のクラスだけ設置してもいいのでしょうか?
それは担任の持ち味なので、全く問題ないと思います。
担任を持っていると、たまに「◯◯先生はやってくれるのに」という担任比較の話を耳にします。
小学校の学級通信などは、よく聞く話です。
私自身は、担任の横並びは必要はないと考えています。
色々な教員がいて、その教員の味があるからこそ教育はよいのです。
球技大会後などのご褒美(アイス・お菓子配り)などは、考える必要があるかもしれませんが、知的な活動であれば問題ないでしょう。
以前勤務していた学校では、学年で多くの先生が学級文庫をおいていて、それぞれの想いが反映されていて面白かったです。
また、私のクラスの学級文庫は、生徒が借りていくことも許可しています。
もちろん他クラスの生徒もOKです。
自分が担任する教室を間借りしているだけで、自分のクラスの生徒だけが利用するものではないからです。
授業にでている他クラスの生徒も、授業内で語る言葉をきっかけに借りに来てくれるので、不公平感は特にありません。
コンパクトに想いを伝え、その補足となる根拠を学級文庫におく。
早速試してみたいです!
想いを強化するためのための学級文庫選び【5選】
ここから「担任の想いを強化する選書の考え方」を紹介していきます!
前提として、どのような書籍を並べても、それは担任の個性として正解です。
本記事では、私自身の考える「学級経営・授業に活かす視点」から選書の考え方を紹介していきます。
授業改善に関わる書籍
教員が読む本を学級文庫として置くのですか?
書籍によっては、高校生が読んでみると面白い書籍もたくさんありますよ!
高校では、まだまだ一方通行な授業が多いのが現状です。
私が行う授業内では
- なぜ対話的な授業が必要か
- 主体的に学びをつくる必要性
などを話しています。
しかし、なかなか腑に落ちないという生徒もいます。
そこで、「現代社会で必要な力が書かれた書籍」や「教員向けの授業改善につながる書籍」を学級文庫として置いておきます。
高校生はある程度文章が読めますから、大人向けの書籍も読むことができます。
このような教育関連の書籍を置くことで、
- 「先生も勉強してるんだ」という視点
- どのように授業を受けるべきなのか
- 学校生活でどのような力を磨いていけばいいのか
など、教員の話を補完するような内容を自身で得てくれるのです。
授業の作り方や実践例などのノウハウ系の教育書ではなく、授業づくりのためのマインドに影響を与えてくれた書籍がおすすめです。
ある意味先生方へのメッセージになますね!
学級文庫を置くと、自習監督に来た先生方が手に取ってくれることもあります。
教育関係の書籍は、職員室にこれからの時代の教育を広めていくのにも役立ちます。
ぜひ、取り入れてみてください。
探究的な視点をもつ社会課題&ビジネス書
探究学習を進めるにあたっては、教員自身が専門教科外の学びを深める必要があります。
これからの教員は、テーチャーとしての役割だけではなく、ファシリテーター、ジェネレーターといった役割も必要になるからです。
▼これからの教師の役割については、こちらの記事でも紹介しています。
また、教員が教科の専門知識を教えるだけでなく、生徒の学びをサポートしていくための幅広い知識を持って生徒に声掛けをしてくことで、生徒の探究活動は深まります。
その際、専門的な深い知識がなくとも、その分野と生徒を繋いであげることができれば、生徒の探究のサイクルはどんどん回っていくのです。
ですから、教員自身が学びを深めるために読書を続けていくことは必須です。
そこで、自身の学びに活用したビジネス書や多様なジャンルの新書などをどんどん学級文庫に置いていくのです。
そうすることで、生徒は気になった分野の書籍に手を伸ばし読んでくれます。
今でこそ探究の時間がありますが、生徒が探究を目的に書店に足を運ぶことは少ないでしょう。
家で眠らせている本がある場合には、きっかけを与えるための学級文庫として活用してみるのもありです。
キャリア意識に働きかける書籍
高校生の段階で、
このようなことを明確にできている生徒は多くありません。
逆に
という生徒も珍しくありません。
これまで関わってきた生徒も、文理選択や学部決定で悩んでいる姿をたくさん見てきました。
そこで、学級文庫にはキャリア意識を醸成するための書籍も置いています!
キャリア意識を高める書籍としては、「高校生や中学向けに書かれた本」と「大人向けのキャリア形成本」に分けられます。
高校生向けのものは、社会人の体験談や関心の広げ方などが書かれているような書籍です。
一方で大人向けのものは、少し先の未来を考えたり現在の社会情勢を理解する上で役立ちます。
自分自身のキャリアを考える上でも読んでいて面白いですが、指導者として教育活動のアイデアが湧いてくるので、このような本も読んでみるとよいでしょう。
そのうえで、学級文庫として教室に置いておきます。
「自分が読みたい本」+「読んでほしい本」の2点から書籍を探すとよいですよ!
また、大学進学に関わる書籍についても置いてみるのもありです。
入学金、学部の詳細については、螢雪時代などの進路雑誌が各クラスに配布される学校が多いでしょう。
ですから、もう少し本質的なものを学級文庫として選ぶのがおすすめです。
- なぜ大学で学ぶのか
- どのような研究が話題となっているのか
など、各学問領域をもとに、生徒が読めそうな新書などを選んでいきます。
奨学金についての考え方などもよさそうですね!
大学入試に関わるものであれば、手に取ってくれる生徒も多いですよ。
人格形成に役立つ自己啓発本
高校生でも読める自己啓発本も学級文庫に置いてあります。
中学生までと異なり、相当な専門書でないかぎり高校生は大人と同じものを読めますし、理解できます。
大人向けに書かれている自己啓発本は、仕事をしている社会人に役立つのはもちろん、学びの場や人間関係形成の場にいる高校生時代でも使えるものが多いです。
人間性、内面が磨かれれば、自ずと学級はよい方向に向かっていきます。
教員が「ああしなさい。こうしなさい。」というよりも、権威のある書籍に伝えてもらったほうがより効果的です。
教員自身もたくさんの本を読んで、人格形成の栄養にしていることを示すのも意外とよい方法です。
有名な「7つの習慣」などは、高校生向けのものも出版されているのでおすすめです。
すぐに役立つノウハウ系の書籍
最後は、高校生にとって身近な実用的な内容の書籍です。
これまでの4つは、教員の想いを強化する側面が強かったのですが、こちらは生徒にとって分かりやすく、目の前の利益につながり、手に取りやすい書籍です。
こちらも教員が学ぶために一度読んだものです。
「普段から伝えていることを詳細は書籍で!」
というスタンスです。
たとえば
- 記憶の定着の仕組みを解説した書籍
- 正しい学習法を紹介している書籍
- 学習計画の立て方、手帳の使い方の書籍
などが分かりやすいでしょう。
私自身、普段からコンテンツだけではなく、学び方を教えるをモットーに授業をしています。
そのため科学的な根拠をもとに説明されている書籍は大変役立ちます。
他にも、学習計画や手帳管理術など学習時間の可視化については、書籍だと図を用いてわかりやすく書かれていますので、言葉で伝えるより効果的です。
このように、生徒がいま欲しているノウハウ系も学級文庫に含めておくことで、書籍全体に目が向きやすくなります。
結果、これまで紹介した別のジャンルの書籍も手に取ってくれるようになります。
常に学び続けることが必要
ここまで、学級文庫を選書するにあたり、5つの考え方を紹介してきました。
教員自身がスキルアップのために読んだ本が、そのまま学級文庫になっているのが特徴でしたね。
学級文庫のために本を選ぶというよりは、自身の学びから生徒へ伝えたいものを選書していくと一石二鳥です。
書籍を選ぶときは「自分が読みたいもの」+「生徒も読んだら面白そうなもの」の2つ視点を持つとよいでしょう。
そのようにすると、自分の学びにもなり、生徒の学びにもつながります。
学級文庫は、図書室に書籍があるにも関わらず、あえて自身のクラスに書籍を並べるものです。
だからこそ、そこには担任としてのメッセージを込めることが大切です。
そして、メッセージを持たせるためには、普段から学び続け、想いを蓄積していく必要があります。
その想いを実現させる教育活動を行うなかで、学級文庫が教育活動を補完をしてくれるのです。
まとめ:学級文庫は担任の想いを伝える&自身を成長させてくる
今回の記事では、『担任の想いを強化する!学級経営と授業に活かす学級文庫の選書法【5選】』として、学級文庫の考え方について紹介してきました。
学校には必ず図書室があります。
しかし、図書室の多くは話題の小説や生徒がほとんど手にとらない専門書がメインの選書となっているしょう。
もちろん、一通り新書なども揃えてくれていたり、一般書も教員推薦コーナーとして設置されていたりすることもあります。
ただ、自分のテリトリーではないので、自由に想いを伝えることは難しいのが現実です。
そこで学級文庫を置くことで、普段の授業や学級経営、その他教育活動で伝えている想いを強化してあげることができるのです。
このようなメリットを発揮させるために、以下の5つの選書の考え方を紹介しました。
普段、授業や学級経営において伝えている内容の根拠となる書籍。
また、それをきっかけに、さらに自分で深く調べたいと思える書籍。
そのような選書を行なっていくとよいでしょう。
その際、学級文庫のために本を買うのではなく、自分の学びのために書籍を購入しそれらを生徒と共有することで、あえて出費をすることもなくなります。
一番分かりやすい学びは読書です。
学級文庫が充実していることは、教員自身が学びを深めている証拠でもあります。
人に何かを教わるとき、時代とかけ離れた数十年前の話をするだけの人から教わりたいとは思いません。
これまでの経験を大切にしながも、日々アップデートされている考え方を持っている。
そのような人の話には魅力があります。
ぜひ、自身の学びを深めるとともに、教育者としての発信・想いを強化できる学級文庫を設置してみてはいかがでしょうか?
▼今回の記事に興味を持ってくださった方は、こちらの記事もどうぞ!
担任を持つことになって、学級文庫を置いてみようと思うのですが、どのような書籍を置いていますか?