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【教員必見】いまさら聞けない?「評価規準」と「評価基準」の違いを知り、授業力を高めよう!

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新人先生

指導案を書くとき「評価規準」と「評価基準」の間違いをよく指摘されます…。

きょういち

よくあることですね。

違いを理解して、あらためて評価について考えてみましょう!

 

「評価規準」「評価基準」

打ち間違えたり、「どっちでもいい」と考えたりして、指摘されたことがある先生も多いと思います。

 

教員として大切な仕事の一つに、生徒を評価することがあります。

これは点数をつけるという意味ではなく、適切に生徒にフィードバックをし成長を手助けすること

 

評価を考える上で「評価規準」「評価基準」の違いは非常に大切な言葉です。

また、評価をしっかり考えることは、授業をよりよくすることです。

 

今回は、いまさら聞けない2つの「きじゅん」について、分かりやすく解説していきます。

学生や初任の先生はもちろん、これまで曖昧に使っていた先生方も2つの違いを理解して、よりよい評価実践を進めていきましょう。

 

きょういち

具体例を含めながら分かりやすく紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。 

この記事を読んでほしい方
筆者の経歴

高校の数学教員として10年以上授業を行っています。

ただ学習内容を教えるのではなく、「学び方を教える」をモットーに授業作りをしています。

授業内では、「ルーブリック評価」「振り返りシート」「生徒相互評価」などを導入し、学力テストのみに依存しない「学びに向かう力」の育成に向けた評価実践を継続中。

曖昧にしがちな評価規準と評価基準

新人先生

漢字を指摘されるのですが、そもそも違いをイマイチ理解できていなくて…。

きょういち

確かに紛らわしいですよね。

 

教育実習や初任のとき、指導案添削の場面で「規準と基準」の違いを指摘された経験がある方も多いのではないでしょうか。

いわゆる「規準(のりじゅん)」「基準(もとじゅん)」

経験を重ねている先生方も意外と説明をするのは難しいと思います。

 

「とりあえず指導案の評価の部分は規準かな?」

「ルーブリックは基準かな?」

くらいの感覚の人も多いでしょう。

 

これからの教育は、「何を教えるか」ではなく、「何ができるようになるか」を考える時代。

評価の大切さは、より一層増しています。

 

テストの点数のみで、一方的に5・4・3・2・1の評定をつける時代ではなくなりました。

高校でも上手く取り入れられずに、批判が相次ぐ観点別評価。

生徒の成長を促す効果的な評価を行なっていくためにも、あらためて「評価規準」と「評価基準」意味を理解して、評価の第一歩を踏み出していきましょう。

評価を理解すれば、多様な評価方法や観点別評価の有用性も見出していけるでしょう。

 

評価規準と評価基準の違いとは?

まず規準と基準の言葉としての違いです。

辞書で意味を調べてみると以下のとおりです。

「基準」は物事を比較・判断するときのよりどころとなる標準のことであるが、それに対して「規準」は手本として守るべき規範・規則のことをいう。

引用:大辞林

 

また教育の視点では、書籍「新しい教育評価入門」の中で出てくる以下の表現がわかりやすいです。

評価の準拠枠を示す場合に「評価規準」、規準を段階的に具体化したものを「評価基準」とする。

引用:西岡 新しい教育評価入門

規準:何をどのような観点で評価するか

基準:どの程度できれば合格レベルなのか

参考文献:石井 新しい教育評価入門

 

授業を行うときには、目標を立てます。

その目標を達成したかどうかを評価するための拠りどころが「評価規準」です。

「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」の観点別評価がまさに評価規準になるものです。

 

そして、それらを達成するために具体的な段階を設ける。

つまり生徒の学習到達度を段階的に設定する。

これが「評価基準」です。

 

新人先生

目標を達成した学習者の状態が評価規準。

そのための段階的な指標が評価基準なのですね。

 

評価規準を具体的に考えよう

きょういち

具体例を交えて詳しく見ていきましょう!

 

評価規準は、目標に準拠する評価です。

私の専門である数学を例に見てみます。

 

例えば、

  • 2次関数の最大値・最小値を求めることができる
  • 2次関数の最大値・最小値についてグラフを用いて考察することができる
  • 2次関数の最大値・最小値の考え方を日常の事象に積極的に活用しようとする

などの目標を立てたとします。

これらの目標は、生徒に目指してもらいたい状態であり、その達成について評価をしていきます。

 

このような目標を評価する規準として、観点別評価を考えてみます。

例えば以下のようなものです。

知識・技能基本的な2次関数の最大値・最小値を求めることができる。
思考力・判断力・表現力軸に文字を含む場合の最大値・最小値について、グラフを用いて場合わけを表現し、それらを考察することができる。
主体的に学習に取り組む態度2次関数の最大値・最小値を日常の事象に積極的に活用し考察しようとしている。

 

先に述べた目標に対して、それらに応じた観点別評価を示すことになります。

このように2次関数の最大値・最小値という学習内容について、どのような観点で評価をするのか。

目標の達成に準拠した評価を設定していくのが「評価規準」となるのです。

 

評価基準を具体的に考えよう

きょういち

前項の「評価規準」を具体的化していきましょう!

 

評価基準は、目標を達成するための具体的な指標です。

代表的なものとして、「ルーブリック」「チェックリスト」が考えられます。

 

知識・技能の目標としての「2次関数の最大値・最小値が求められる」とは、どのような状態を指すのでしょうか。

  • 文字を含まないタイプが解ける
  • 軸に文字を含む、場合分けが必要なタイプが解ける
  • 定義域に文字を含む、場合分けが必要なタイプが解ける
  • 定義域の片側が動く、両方が同方向に動く(幅が変わる・変わらない)、逆方向に動く

などチェックリストをつくることができます。

 

学校の実態に合わせて、どのレベルの問題まで解ければよいのか。

このような基準をつくるわけです。

 

思考力・判断力・表現力では、場合分けの問題をレポートで評価することもできます。

指導要領に記載されている目標は以下のとおりです。

二次関数の式とグラフとの関係について,コンピュータなどの情報機器を用いてグラフをかくなどして多面的に考察すること。

引用:学習指導要領解説数学編

これをもとに前項の評価規準で

「軸に文字を含む場合の最大値・最小値についてグラフを用いて場合わけを表現し考察することができる」

を設定しました。

 

この達成状況を具体的に把握していくためにルーブリックを作成します。

今回は簡潔に、基準が2つのルーブリックとしました。

評価基準
A基準
適切に場合分けを行い、最大値・最小値を考察している。また、それぞれの場合についてグラフの状態を表現し、最大値・最小値をとるxの値についても説明できている。
B基準
適切に場合分けを行い、それぞれの場合について最大値・最小値を考察できている。

このようにルーブリックを用いて、生徒がどのレベルまで思考や表現を深められているかを考えておくのてす。

きょういち

他教科の先生は、わかりにくい具体例だったかもしれません。

ぜひ、自身の教科でも考えてみてください。

 

▼ルーブリック作成のポイントについては、こちらの記事でも紹介しています。

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まとめ:本質を理解することで、評価の質を高めよう

今回は、”「評価規準」と「評価基準」の違いを知り、授業力を高めよう!”のテーマのもと、評価について話を進めてきました。

 

管理職の中には、言葉の違いを丁寧に指導してくれる人もいます。

その際、日々の忙しさを理由に細かい意味合いを疎かにしてしまうことも多いでしょう。

 

しかし、理論をしっかり押さえることで

  • 評価をどのように進めれば生徒の成長につながるのか
  • 自分自身の授業は評価と一体化しているのか

これらをあらためて考えるきっかけとなります。

 

授業力を上げるためには、評価を意識することが欠かせません。

学習指導要領が示す評価規準、そして学校が目指す生徒像としての評価規準。

これらを達成するために、具体的に生徒がどの状態になっていればよいのか。

 

そして、生徒を見とるためのルーブリックやチェックリストなどの評価基準に落とし込むことで、授業内容が明確になります。

このように評価を丁寧に考えることで、授業に無駄がなくなり、より効果的な学習内容となっていくのです。

 

「ただの漢字の違い」と捉えるのではなく、しっかりと意味を理解することで、授業や教育の質を高めていきたいですね。

きょういち

今回の記事が先生方の評価作成の参考となれば嬉しいです。

 

▼今回の記事に興味を持ってくださった方は、こちらに記事もどうぞ!

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参考・引用文献
  • 西岡加名恵(2015).教育実践の改善 西岡加名恵・石井英真・田中耕治(編) 新しい教育評価入門ー人を育てる評価のために[増補版] 有斐閣コンパクト
  • 文部科学省(2018).高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 数学編
  • 国立教育政策研究所(2021).「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料

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