ホーム » 教員・教職志望の方 » 学級開き(高校編)〜是非やっておきたい!アイデア8選〜

学級開き(高校編)〜是非やっておきたい!アイデア8選〜

アイキャッチ

3月に年度内の業務を終えると、新しい校務分掌のもと次の学年や学級、授業などで新たにどのような実践を行うか期待が膨らみますよね。

今回は、担任業務のスタートである学級開きについて、私自身が実際に取り組んで良かったものを紹介します!

義務教育では当たり前?と思われる内容もあると思いますが、高校では意外と実践されていないものもあります。

教員養成学部出身の筆者が実際に行ってみて、高校でも使える実践や業務効率アップ術まで幅広く紹介をします。

是非読んでみてくださいね。

新人先生

今年から初担任です!

やりたいことが沢山ありますが実際に何をしようか迷っています。

きょういち

私自身が担任として実際に行った中で、良かったものを紹介します!

全部行う必要はありませんので、やってみたいものだけチャレンジしてみてください。

この記事を読んでほしい方
  • 高校で初めて担任を持つ若手の先生方
  • これまで学級経営で取り組んだことがない実践を探している先生方
筆者の経歴

高校において、初任から3年間で卒業生を送り出す。

教職歴10年の間に3回の学年持ち上げを行い、入学から卒業までの3年間を見通した学級経営を実践。

学級経営では、『生徒にとって「安心・安全な場」を作り、生徒が自ら進路を切り拓くこと』を大切にしている。

学級経営は最初の1週間が大事

きょういち

学級経営は最初の1週間が大切です!

授業が始まるまでの慌ただしい1週間ですが、しっかり方針を固めておきましょう!

新人先生

何事も初めが肝心ってことですね!

学級開きを通して担任としての信用を得よう

小・中学校では「黄金の三日間」などと言われ、学級開きの重要性が語られることがあります。

私自身としては、

  • 高校現場では、学校によって年度当初の日程や進め方が異なること
  • 高校生にもなれば、学級づくりのすべてを教師主導で行うのではなく、生徒主体でより良い集団を作り上げることが良い
  • 決まりごとは、1週間くらい継続しないと効果がない

と考えている部分があるので、授業が始まり通常の学校生活となるまでの1週間程度を学級開きと捉えることが良いと思っています。

いずれにしても、より良い学級を目指すためには、最初が肝心なことに変わりはありません。

学級開きの際に、担任として生徒にある程度の信頼を持ってもらうことは重要です。

ここで、生徒がガッカリすれば、その先も担任の想いが生徒に伝わりづらくなってしまうからです。

年度当初は生徒も気持ちを新たに臨んでいる

もう一つ、最初が肝心である理由。

それは、生徒も年度当初は新たな気持ちで学校生活に臨もうとしているということ。

新入生は高校という未知の生活に期待と不安を抱いています。

2,3年生においても「前年度よりも今年度は頑張りたい!」という気持ちがあります。

そのような生徒のプラスの姿勢が強い年度当初は、生徒も教員の話を真剣に聞きます。

ここで生徒が

  • 「今年の担任は、いいかも」
  • 「今年のクラスは楽しそう」
  • 「今年は、なんか頑張れそうだな」

と思ってくれれば、その後も学級経営がしやすいのです。

やっておきたい!アイディア8選

idea

では、ここからは実際に学級開きから1週間の間に行いたいアイディアを紹介します。

「良いなぁ」と思ってもらえるものがあれば、ぜひ行ってみてください。

全員の名前を覚える

きょういち

まずは担任が行いたい、担任主体の話をしますね!

これは、「当たり前でしょ」と思う人もいれば、「無理かなぁ」と思う人で分かれるものですね。

高校において、クラスの生徒全員の名前を覚えて入学式や始業式を迎える先生は少ないのではないでしょうか。

 

しかし、名前を覚えることには多くのメリットがあります。

メリット
  • 呼名をした時、「自分達との1年のためにしっかり準備をしてくれた」というクラスの信頼につながる
  • 話しかける時に名前を呼んでから話すことで個人との信頼につながる
  • 名前を呼ぶことで生徒とのコミュニケーションが円滑に進む

などが挙げられます。

人とのコミュニケーションの基本は名前をしっかり覚え、名前を呼ぶことです。

これは、心理学でも明らかになっており、「ネームコーリング効果」と呼ばれています。

相手の名前を丁寧に呼んでから話しかけることは、相手にプラスの印象を与えるのです。

なぜなら、名前とは本人にとって自身を象徴する最も大切な言葉であるからです。

時々「ねぇ」「ちょっといい?」で生徒に話かける場面を見ませんか?

中には「おい!」「おまえ!」なんて呼び方をする人もいます。

教師と生徒は立場は異なれど、対等であって、教師が上や偉いなんてことはありません。

しっかりと「さん」付けで名前を呼ぶことで、生徒との信頼関係が生まれるのです。

所信表明を行う

最初のLHRでは、担任としての所信表明を行いましょう。

所信表明は、

  • どのようなクラスになって欲しいか
  • 一人一人が1年後にどのようにな状態になってほしいか
  • より良い学校生活のために守ってほしいことは何か

を伝える大切な場です。

これらは、1年間継続的に生徒に伝えることが重要ですが、最初の1週間、特に気を使うことでクラスの方向性が決まっていきます。

私自身はいつも以下のようなことを伝えます。

所信表明の例
  • 互いの自由を認め合うこと
  • 自由とわがままは異なること
  • 一人一人が進路実現を果たすために他者に貢献すること
  • 時間や締め切りを守ること
  • 教室や身の回りの整理を行うこと

基本的には、自己実現を図るための「学びの場」を作ることを伝えます。

禁止事項などは、挙げればキリがありません。

上位目標を掲げ、互いが気持ちよく過ごせる「学びの場」に貢献することが、結果自分がより良く過ごし、学を深めることにつながると考えています。

そして、それらを自分の頭で考えることの大切さを伝えるようにしています。

「勉強しよう」と伝えるのではなく、自ら「学習に臨もう」とする態度が湧き出てくるような学級経営がポイントですね。

学級通信第1号を発行する

私は、担任を受け持つ際、学級通信を発行するようにしています。

学級開きでは、回収物なども多く意外と時間が取れない学校も多いのではないでしょうか。

そのような状況で、全項目に挙げた「所信表明」を口頭で伝えるだけでは、なかなか伝わらないことも多いのです。

学級通信を発行すれば、所信表明を文章でも伝えることができるので、より正確に生徒に伝わります。

業務が忙しい年度始めの時期ですが、学級通信はメリットも多いので、ぜひ行ってみてください。

 

↓学級通信のメリットや基本ネタをまとめた記事もありますので、参考にしてみてください。

アイキャッチ

 

アイキャッチ
新人先生

「自分達のために何か行動してくれそう」って思ってもらえると、生徒から信頼を得られるかもしれませんね。

きょういち

そうですね!

次は、担任と生徒の関係ではなく、生徒同士の人間関係づくりについて紹介していきます。

「1対40」ではなく「1対1×40」の関係づくり

学級開きでは、自己紹介をする場面がありますね。

自己紹介の時間は多くの場合、

  • 担任が生徒全員に向かって自己紹介をする
  • 番号順に生徒が全体に向かって自己紹介をする

という形ではないでしょうか。

この自己紹介って、かなり形式的なものになってしまいませんか?

名前、部活動、好きなもの・・・

前の人が言った項目を真似したり、教員が形式を決めてしまったり。

これだと名前は覚えることができても、人間関係を気づくことはできないのです。

 

ですから、このような1対40の自己紹介ではなく、1対1×40の自己紹介をおすすめします。

これは、一人が全体に自己紹介をするのではなく、1対1のペアで互いに自己紹介をする場面を設定する方法です。

こうすることで、相手とのコミュニケーションが生まれやすくなり、互いの信頼関係が築きやすくなります。

ただ、一人の目線で見れば1対1×40ですが、実際には40人学級であれば\({}_{40} \mathrm{C}_2=780\)通りです。

この数を50分程度の1コマで済ますことは難しいですよね。

ですから、下記のようにパターンを変えて、数日に分けて行うのが良いでしょう。

自己紹介の方法
  • 歩き回って10人以上と自己紹介
  • 隣同士、前後、左右と自己紹介
  • 活動の際に席替えをして、自己紹介からスタート

クラスの良い人間関係が、より良い学校生活や授業につながるので、私自身は人間関係作りを丁寧に行なっています。

勤務校では、探究学習の企画・運営を行う分掌が主体となって、「主体的・対話的で深い学び」を実現するための土台として、入学後に学年全体で上記のような人間関係づくりを行います。

今後のクラス替えを見越して学年全体を「安心・安全な場」にしていこう

というねらいです。

座席表を配る

私は、前項のような自己紹介の時間が終わったら、学級通信第2号を発行しています。

内容は、座席表です。

どこに誰が座っているのか、ただそれだけです。

 

前項のような自己紹介をしたとしても、初めのうちは名前が覚えられなかったり、そもそも自己紹介ができていないクラスメイトがいたりもします。

学級を「安心・安全の場」にするためには、LHRという限られた時間では限界があります。

ですから、生徒が一番多くの時間を共に過ごすであろう各授業の中で、「安心・安全の場」を作り上げることが大切です。

それぞれの授業で、対話的な学習がうまく進むことで、生徒にとってクラスが自身の学びを深める場となっていくのです。

そこで、コミュニケーションの基本である相手の名前をいつでも呼べる状態にしておくために、座席表を配ってしまうのです。

生徒が主体的に目標を立てる

新年度は、クラス目標や個人目標を作らせることが習慣になっている学校もあるのではないでしょうか。

ここでも上記に記載した1対40の状況を作らないことが大切だと考えています。

クラス目標は、担任の所信表明とは異なりますので、担任が細かく決めることではありません。

よくあるクラス目標の立て方が、先にクラス委員を決めて、HR長、副HR長、書記あたりが前に出てきて進めるパターンでしょうか。

一見すると生徒主体の取り組みのようですが、その他大勢は個人の意見を言わないし、時間をとってグループで話し合ってから発表させても最終的な意見を絞るのに結局多数決で…なんてことも。

 

そのような経験から、私は上位目標を明確にしてから4人グループで10個の完成物を作らせてしまいます。

内容は、担任が所信表明で示した「安心・安全の場」を作るために、

  • 「どのようなクラスが良いクラスか」
  • 「どのようなクラスが嫌なクラスか」

この2つを図に書き出しながら、まとめていくのです。

これであれば、最後に聞こえの良い抽象的な言葉でまとめる必要もありませんし、少人数なので具体的な言葉がたくさん出てきます。

このような対話をベースとすることで、グループの人間関係作りもセットで期待できます。

最後は、各グループの考えを全体で共有して、後日教室掲示しておきます。

「グループごとに様々な意見がでた」で良いのではないかと思っています。

その過程の中で、「安心・安全な場」という上位目標に向かって全員が自分ごととして考えることが大切だからです。

新人先生

生徒一人一人が対話を通して関わりを持つこと、自分ごととして主体的にクラスに貢献しようとする意識が大切なのですね。

きょういち

形式的なものも、せっかくなので工夫をして有意義なものにしたいですね。

最後は、忙しい年度初めのための事務作業の話題です!

Google Classroomを作る

一昔前までは、導入しているクラスは少なかったと思います。

最近では、GIGAスクール構想の影響により高校でも一人一台端末が当たり前になり、大分普及してきましたね。

Google Classroomを使えば、日々の連絡が楽になり業務効率が格段に改善されます。

  • 日々の連絡事項
  • 時間割や行事予定表の配付
  • 提出物の管理
  • 学級通信の電子配付

など、時間に拘束されることなく生徒とやりとりができるため、大変便利なツールです。

学級開きでクラスコードを提示し、Classroomを開設しましょう!

掲示物など事務作業はExcelで作業効率を上げる

年度当初は、事務作業が多いですね。

例えば

  • 清掃当番表
  • 週番表
  • 時間割表
  • 二者面談日程表
  • 委員会名簿

などなど。

これらは、各分掌が個別に用意している場合があります。

もし一つにまとまっていなければ、どこかのタイミングで一つにまとめたファイルを作りましょう。

同じ名簿を使うわけですから、一つにまとまっている方が断然使いやすいですよね。

学年の名簿で作成し、クラスを入力するだけで生徒が切り替わるようにしておけば、学校全体の業務負担にもつながります。

一度誰かが作ってしまえばずっと使えるのが、このようなEXCELファイルです。

学校現場はシステム化が苦手ですので、もしそのようなファイルが存在しない場合には、ぜひ作成してみてください。

まとめ:年度初めは業務負担を減らし、本当に必要なことをしよう!

今回は、「学級開きにやりたいこと」として以下の8つを紹介しました。

学級開きにやりたいこと
  1. 全員の名前を覚える
  2. 所信表明を行う
  3. 学級通信第1号を発行する
  4. 「1対40」ではなく「1対1×40」の関係づくり
  5. 座席表を配る
  6. 生徒が主体的に目標を立てる
  7. Google Classroomを作る
  8. 掲示物など事務作業はExcelで作業効率を上げる

年度初めはやってみたいことがたくさんあります。

しかし、「生徒のため」を口実にどんどん業務が増えてしまうのも問題です。

単純作業や毎年の同じ作業はシステム化し、本当に生徒のためになる、教育の本質的な部分にエネルギーを費やせるようにしたいですね。

今回紹介した内容が、少しでも先生方の目指したい教育像に近づくものであれば、ぜひ活用してみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA