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生徒のモチベーションを上げる学級通信〜基本ネタ5選〜【高校版】

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小・中学校での取り組みのイメージが強い「学級通信」。

高校でも発行してみたいけど、何を書けばよいの?

そのような高校で担任を持たれている先生向けに、今回は高校でも発行できる、学級通信の「基本ネタ」を紹介します!

 

「そもそも高校で学級通信なんて出す意味あるの?」

って方は、下記の記事もぜひ読んでみてください。

本記事の学級通信ネタとも関連していますので、参考になるかと思います。

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この記事を読んでほしい方
  • 学級経営の一つとして学級通信を発行してみたいと考えている先生
  • 進路指導や学級経営をうまく進めたいと考えている先生
筆者の経歴

高校において、初任から3年間で卒業生を送り出す。

自身の準備不足から進路指導への課題を感じ、翌年1学年の担任として学級通信の発行をスタート。

それ以来、担任として学級通信を発行し続けている。

運動部主顧問を持ちながらも、働き方の効率を上げ、年間100号以上の学級通信を発行した年もある。

現在は内容の質を高めることに注力し、クラスが生徒にとって「安心・安全な場」となり、自ら進路を切り拓くための学級通信を発行している。

学級通信ネタ5選

新人先生

学級通信ってクラスの様子を保護者に伝えるイメージです。

きょういち

もちろん、それもいいアイディアです。

高校生は大人と同じように文章を読めますから、私はどちらかというと生徒に読んでもらうために書いています。

生徒向けに発行する学級通信ネタをさっそく紹介していきますね。

スケジュールと連絡事項を伝える

まずは、一番の基本で書きやすい「スケジュール」と「連絡事項」です。

学校は次から次へと新しい行事や連絡事項が降ってきます。

その「スケジュール」や「連絡事項」を担任が同じように生徒に降らせていると、生徒はパンク状態になります。

私自身も大学院へ研修に行った際には、久しぶりに学生側の立場になり、次々降りてくる課題に頭がパンク状態でした…。

最近は高校生向けの手帳を導入し、スケジュール管理を指導している学校も多いです。

しかし、全員が完璧に使いこなすことは難しいでしょう。

大人であっても、紙であれスマホであれ、スケジュールやToDoリストの管理は難しいものです。

そこで、学級通信を用いてスケジュール」や「連絡事項」を伝えるのです。

このメリットとしては、

  • 生徒によって伝わりやすい情報伝達方法は異なること
  • 先を見通して行動できるようになり、学力向上が期待できる&担任が楽になること

の2点です。

朝のSHR時に口頭のみで連絡する場合、耳によって情報を把握できてしまう生徒もいれば、そうでない生徒もいます。

自身でメモを取る習慣がなければ、連絡事項は抜けてしまうでしょう。

そこで紙媒体でも連絡事項を残しておくことで、生徒への伝達を確実に行うことができます。

 

また、先を見通して行動する習慣を身に付けさせることにも有効です。

日々の一日単位の連絡事項であれば、口頭のみでよいと思います。

最近では一人一台端末が当たり前ですから、Google Classroomなどを用いた連絡もよいですね。

しかし1ヶ月単位の予定などは、Classroomでは確認が煩雑になってしまうことがあります。

自分で情報にアクセスし、バラバラの情報をつなげる必要があるからです。

学級通信に1ヶ月単位でスケジュールを載せておくと、生徒が自分で情報を見返すようになります。

そうすると、「模擬試験と期末テストが意外と近い!?」とか「ここまでに提出しておかないと」など、生徒が見通しを持って行動することにもつながります。

その結果、提出物が期限通りに出ること多くなったり、「学級通信に書いてあるよ〜」と言えば同じ質問を何人からも受ける時間がなくなったりと、担任も学級経営業務が楽になります。

 

ただ、高校生にもなって何でも丁寧にしてあげるのも…。

と思う部分もあります。

私の考えとしては、生徒が自分自身で考え行動するようになってもらいたいことは、まず教えなければいけないと思っています。

どこまで丁寧にしてあげるかは、目の前の生徒の実態に応じて調整するとよいでしょう。

行動や活動の様子を紹介する

新人先生

スケジュールや連絡事項だけの学級通信ではちょっと味気ないですよね。

きょういち

そうですね。

次は生徒にとって、クラスが「安心・安全の場」となるための視点で基本ネタを紹介します。

生徒にとってクラスが「安心・安全の場」であることは学校生活の土台です。

その土台づくりにも学級通信を活用してみましょう。

その方法は、生徒の行動や活動の様子を見て、担任自身が感じたことを生徒に伝えるのです。

  • 生徒の良い点をどんどん褒める
  • 生徒の行動がクラスや学校をより良く変えている
  • 担任がクラスのことに関心がある

個人的な経験論ですが、このような内容や担任の姿勢がクラスに安心感を生み、生徒同士の雰囲気も和やかになっているような気がします。

担当教科によっては、クラスの生徒全員を授業で担当することがなく、朝と帰りのSHRくらいでしか顔を合わせない場合も珍しくないのが高校の担任です。

ですから、学級通信のネタを手に入れるチャンスとして学校行事が最適です。

学校行事には、生徒視点から見ると「真面目な行事」と「楽しい行事」がありますよね。

真面目な行事や活動としては、

  • 進路講演会
  • 学年集会
  • 総合的な探究の時間の発表活動

などが挙げられます。

一方で楽しい行事は、

  • 球技大会
  • 文化祭
  • 修学旅行

などですね。

 

講演会や発表会などについては、「集合が早くてよかった」とか「前向きに取り組んでいた」とか簡単なことでも良いのです。

もちろん、内容まで深くフィードバックしてあげるとさらに良いですね。

これは学級通信が生徒の行動や姿勢を褒めるだけのものではなく、生徒にとって活動内容自体の振り返りにもつながります。

そのためには、担任が行事の運営にも参加しながら生徒の様子を見ることが大切です。

たまに行事の担当でないからといって、職員室で仕事をしている先生がいます。

それってもったいないと思いませんか?

行事に前向きに参加することは、職場の人間関係にも学級経営にとってもメリットが多いので、ぜひ参加したいですね。

 

また文化祭や体育祭などは、生徒が盛り上がる大きなイベントです。

学級経営に使わない手はないですね。

クラスの様子で感じたことを書いたり写真を載せたりと、所属意識を高めるためのチャンスとして学級通信を活用しましょう。

この辺りは、保護者からも喜ばれることが多いです。

小学校と比べて、高校は学校への出入りが少ないです。

学校の様子が分かる学級通信は、保護者への信頼関係づくりの一つにもなるでしょう。

学習方法を紹介する

きょういち

3つ目は学習方法の紹介です!

新人先生

上手く学習が進められていない生徒にとっては有効そうですね。

高校入試を経て同じ学校に進学してきたとしても、得意・苦手教科は様々ですし、中学校までに積み上げてきた学習スタイルも人それぞれです。

また中学校までに経験として得てきた学習スタイルが、高校になって激増した学習内容には通用しないこともあります。

そこで学級通信を利用して、これまでの学習方法をアップデートさせてあげることが有効です。

 

例えば、認知主義的学習観非認知主義的学習観という考え方があります。

東京大学大学院の市川伸一先生らによってまとめられた、分かりやすい図を紹介します。

学習観の構造(市川伸一2009)

学習観の構造
出典:数学の学力・学習力診断テストCOMPASSの開発

効果的な学習を行うためには、生徒が「認知主義的学習観」を持つことが重要です。

  • 答えさえあってればいい→解き方や考え方まで理解する
  • 断片的な知識をとにかく覚える→知識を関連づけて覚える
  • とにかく時間をかけ量をこなす→学習法を工夫して効果的に学ぶ
  • 環境がよければ成績が伸びるのに→失敗から学ぶことがある

このように学習に対する考え方を変えることで、学力向上が期待できるとされています。

しかし、実際はどうでしょうか。

結果を重視したり、丸暗記に頼ったりしている生徒も多いのではないでしょうか。

そもそも教員自身が、学習の質に触れることなく、短絡的に「学年+2時間は絶対!」なんて言ってしまっているでしょう。

実は意外と教員が間違った認識を持っていて、生徒たちは誤った学習観を持ったまま小中高と進んできてしまっている可能性もあるのです。

教員が適切な学習方法を学び、それらを伝えていくことが必要なのです。

ただ心理学的な内容は難しく書かれているので、もちろん噛み砕いて載せる必要はあります。

 

認知主義的学習観については、生徒向け記事もありますので、ぜひご覧ください。

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この他にもスケジュール管理の方法や模試の復習ノートの作り方など、学習の方法に関する内容は沢山あります。

まずは教員がしっかり学び、それらを生徒に伝えていきたいですね。

進路情報を紹介する

きょういち

4つ目は進路情報です。

私が学級通信を始めた一番の目的でもあります。

新米先生

進路について伝えることって確かに多いです。

現代は情報に溢れています。

情報を制する者が受験・就職を制すると言っても過言ではない時代です。

そのため良質な情報を自ら積極的に取りに行くスキルは、これからの時代を生きる生徒にとって必須と言えるでしょう。

しかし情報過多でもある現在、全ての生徒が良質な情報を自分で取りに行くことは難しいでしょう。

そこで学級通信を用いて、情報の収集方法や時期に応じた適切な進路情報を提供することが効果的だと考えています。

 

進路情報の内容としては、

  • 受験科目の見方
  • オープンキャンパスへの参加
  • 入試形式の変化
  • 受験方式の種類
  • 志望校動向
  • 探究学習と大学入試との関わり

など様々なものが考えられます。

 

これらを口頭ではなく学級通信で伝えておくことで、生徒による質問の質が変わります。

例えば、

「科目選択表の見方を教えてください」から「〇〇大学と△△大学では、・・・、化学に力を入れた方がよいでしょうか」

などです。

基本知識をしっかり伝えておくこと、また生徒が押さえておくことで、進路指導が非常にやりやすくなります。

計画的な学級通信の発行は、二者面談や三者面談も有意義な時間になるのです。

 

注意としては、教員自身が進路情報をしっかり学んでおくことです。

大学入試や就職情報は日々変わります。

持ち上げで久しぶりに3年生の担任をすると、受験がすっかり変わっていますよね。

実は教員の持っている情報の方が旧式なんてことも珍しくありません。

教員がしっかり学び続けていることはもちろん、「どのようなことを調べればよいか」というきっかけを生徒に与え、生徒自らが情報を収集できるようにする。

このような姿勢で学級通信を発行するのがよいと思います。 

おすすめの書籍を紹介する

新人先生

学級通信のネタにする項目を色々知ることができました。

きょういち

では最後にもう一つ。それは書籍の紹介です。

学級通信で書籍紹介をするメリットは、

  • 普段生徒に伝えていることのエビデンスが載っている
  • 学級通信で紹介すると生徒が書籍を手にとってくれる
  • 自分自身の読書量が増える

などが挙げられます。

 

私のクラスでは学級文庫を設置しています。

学級文庫くらいは、多くの先生も行っているかもしれません。

しかし、学級文庫+学級通信で書籍紹介まで行っている先生は少ないのではないでしょうか。

 

私が置く本は教育書やビジネス書、自己啓発本なども多数置いてあり、逆に小説などは置きません。

小説は趣味の部分もありますし、図書館にいくらでも入るからです。

やや難しい書籍も置きますが、高校生ですから多くの書籍が大人と同じレベルのものでも読めます。

むしろ、難しいと思える本に挑戦することが大切だと思っています。

このような書籍を置くことで、学級通信に載せた文章のエビデンスを生徒自身で詳しく読むことができます。

新人先生

これなら大人が勉強する姿勢も見せられるかも。

きょういち

自分が読んだ本を置いておくだけですからね。

他にこんな例も紹介しておきましょう。

もう一例を紹介します。

今後の社会で求められる力などは、口頭や文章で伝えても生徒にいまいち響かないことってありませんか?

生徒自身が学校の外に出ないと理解できないことですし、伝える側の教員がそもそも民間企業を経験していないことも多いからです。

私も民間経験がないので、ビジネス書を読むことで少しでも感覚を養うようにしています。

そして生徒の学習意欲を喚起するような書籍があれば、学級文庫に置いています。

例えば、なぜ「主体的・対話的で深い学び」を行うのか。

言い回しは異なれど、ビジネス目線でその必要性が書かれていることも多いです。

このような内容を、自分なりに咀嚼して生徒へのメッセージとして学級通信に載せます。

 

学級通信に関連書籍を載せることで、ただ学級文庫として置いてあるよりも生徒が手にとって読んでくれます。

休み時間や貸し出しで読んでくれる生徒も増えました。

担任の生徒への想いを補助する役割として、学級通信を活用してみるのもよいでしょう。

学級通信を書くときの注意事項

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内容はなんでもよい

これまで学級通信の基本ネタを5つ紹介しました。

もちろん学級通信に載せる内容は、他にもあるでしょう。

担任が生徒に伝えたい想いや内容を文章にして配付すればよいのです。

しかし何でもよいとはいえ、次のことだけは必ず守ってほしいと思います。

絶対に注意・指導を行わない

それは、生徒を注意する、指導する、といった内容を絶対に書かないことです。

当たり前ですが、マイナスのことが書かれている文章なんて誰も見ません。

「読んでみたら面白かった、何か参考になった」

と生徒が感じなければ、学級通信は読んでもらえないのです。

 

ときどき以下のようなこと言っている先生はいませんか?

  • 今日の集会では◯組が一番最後でした。次回は早く集合しましょう。
  • 前回よりも模試結果のクラス平均が下がってしまいました。気持ちを切り替えて学習していきましょう。

このようなことは口頭でも効果が薄いですし、まして学級通信で書くようなことではありません。

1つ目は事前に指示を出すもので、後から注意するようなことではありません。

2つ目に関しては、同じ学力向上を目指すのであれば、結果のマイナス面に注目するのではなく、プラス思考の通信にできるはずです。

教科ごとで見れば、上がっている教科があるかもしれません。

「頑張ろう」などの抽象的な話ではなく、模試分析をもとに分野ごとの効果的な学習方法を紹介するのでもよいでしょう。

学級通信の役割は、生徒のモチベーションを上げることです。

決してマイナスはことは書かず、生徒にとってプラスになる内容を選択しましょう。

新人先生

つい指導したくなります。気をつけよう…。

必ず回議を行い、管理職に目を通してもらう

最後にもう一つ注意事項です。

仕上がった学級通信は、管理職にまで目を通してもらい発行することをオススメします。

生徒向けに配付した学級通信であっても、保護者の目にも入る可能性はあります。

誤字脱字はもちろん、内容も第三者に確認してもらうことで失敗を防ぐことができます。

よい学級通信であれば、管理職や学年主任にも評価され、他クラスの先生方と共有することもあるでしょう。

年齢が上がってくれば、自分の実践だけでなく学校全体をよりよくする視点も大切になってきます。

きょういち

回議は「責任の分散」「よい実践の共有」です!

まとめ:生徒のための学級通信を発行し、担任業務を楽しもう

今回は【高校版】学級通信〜基本ネタ5選〜ということで、学級通信に載せるネタを紹介しました。

それは、

  1. スケジュールと連絡事項を伝える
  2. 行動や活動の様子を紹介する
  3. 学習方法を紹介する
  4. 進路情報を紹介する
  5. おすすめ書籍を紹介する

の5つです。

①は生徒のスケジュール管理能力の育成を目指しながら、教員の担任業務を減らすことができます。

②は生徒にとって、クラスが安心・安全の場になるための工夫です。

③④は生徒の学力向上や、モチベーションアップにつなげるための内容です。

⑤は担任からのメッセージだけでは伝えきれない内容を書籍に譲るとともに、担任自体が学ぶ姿勢を見せることにつながります。

これらの基本ネタを学級通信に盛り込むことで、学級経営が大変やりやすくなります。

 

そして重要ポイントとして、絶対にマイナスのことは書かないこと。

また、内容を管理職に確認してもらうようにしましょう。

これらに注意しながら回数を重ねれば、良質な学級通信を書けるようになるでしょう。

生徒が活き活きとしていると、担任としてもよりモチベーションが上がるもです。

ぜひ、担任として楽しみながら学級通信を発行してみてください。

参考・引用文献
  • 市川伸一・南風原朝和・杉澤武俊・瀬尾美紀子・清河幸子・犬塚美輪・村山航・植阪友理・小林寛子・篠ヶ谷圭太(2009).数学の学力・学習力診断テストCOMPASSの開発 認知科学,16,333-347.

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