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【中高教員向け】半構造化面接法を活用し、目的に応じた効果的な三者面談を行おう!

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新人先生

今年から担任を持つことになり、初めての三者面談が少し不安です…。

きょういち

一緒に事前準備を進めていきましょう!

高校では、多くの学校で少なくとも年に1回は三者面談が行われます。

中学校では、高校進学に向けた3年生のときのみ行う学校もあるでしょう。

 

初めて担任をする先生からすると、三者面談をどのように進めればよいのか不安なことばかりです。

 

また、何度か経験を積んだ先生も

  • 時間が長引いてしまいメリハリのない面談になってしまう。
  • 逆に時間が余り、話題が広がらない。
  • 生徒や保護者から質問を受けることなく、一方的に話をしてしまう。

など、悩みを抱く部分もあるかもしれません。

 

三者面談の基本は

  • 目的と内容を明確にする
  • 家庭ごとで、臨機応変に内容を変えていく

この2点が重要です。

 

そのために、今回の記事では面接手法の一つである「半構造化面接法」に着目し、よりよい三者面談を行うための方法を紹介していきます。

きょういち

私自身の取り組みについても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

この記事を読んでほしい方
筆者の経歴

高校の数学教員として10年以上教職に携わる。

内容を教えるのではなく、学び方を教えるをモットーに授業を展開。

学級経営では、生徒にとって「安心・安全な場」となるクラスを目指し、一人ひとりが自身の進路を自ら切り拓くための運営を心がけている。

有意義な面談にするために

初めて三者面談を行う場合、どのように進めたらよいか不安に感じる先生方も多いでしょう。

保護者にわざわざ足を運んでいただくのですから、有意義な時間にしたいものです。

きょういち

今回は、三者面談を有意義なものにしていくためのポイントを見ていきましょう!

  

本記事で紹介するポイントは、大きく以下の2つです。

三者面談のポイント

順番に見ていきましょう。

 

目的と内容を明確にする

三者面談をよい時間にするためには

  • 目的を明確にする
  • そのための内容を事前に決めておく

この2点が大切です。

 

目的の明確化とは、面談の時期によって何を面談の最重要ポイントにするかを決めることです。

 

1年生の夏であれば、学校生活に関すること。

3年生になれば、進路希望先の実現可能性。

このような内容に、保護者は関心が高いです。

進学に関わるお金や学習方法については、1年生の時期でも必要になるでしょう。

 

それぞれの時期に応じて目的を明確に定めることで、三者面談を有意義に進められます。

 

  

もう一つは、具体的に面談のなかで確認する内容を決めておくことです。

 

先述した目的を達成するために

  • 何を伝えておく必要があるのか
  • 何を聞いておかなければならないのか

これらを事前に準備しておきましょう。

 

1年生の初めの時期であれば、学校生活の不安解消のための悩みごと。

3年生の後半であれば、挑戦したい大学から安全圏の大学まで具体的に整理できているか。

などです。

 

新人先生

学校の進学・就職状況、面談を実施する時期に応じて、目的を明確にしておくことが大切ですね。

きょういち

内容も精選されて、すっきりとした面談になりますよ。

 

家庭ごとに内容を変えていく「半構造化面接」を活用する

しかし、家庭によって兄姉がいたり、進学・就職経験の有無が異なったりとさまざまです。

つまり保護者の心配ごとも異なります。

 

そのため、面談の内容は柔軟に変えていく必要があります。

きょういち

心理学の世界では、質的調査をする際に3種類の面接方法があり、これらの考え方を参考にしてみましょう!

 

面接の種類には

  • 構造化面接
  • 非構造化面接
  • 半構造化面接

があります。

 

それぞれの特徴は以下のとおりです。

面接手法学習者の状態メリットデメリット
構造化面接決められた項目を質問する時間内に聞きたい内容が確実に得られる・機械的
・時間が余る可能性
非構造化面接その場で自由に質問をする個々に応じた対応ができる・個々で内容が異なる
・対話の技術が必要
半構造化面接いくつか項目を用意し、そこから自由に質問をする要望に応じて情報を提供することできる・時間が伸びる可能性
・話が脱線する可能性

  

三者面談は「面談」であって、「面接」ではありません。

教員側だけでなく、生徒や保護者も聞きたいこと・伝えたいことがあります。

  

そのため、構造化面接法では少し機械的でしょう。

一方で、非構造化面接法では聞きたいことを逃す可能性もでてきます。

 

ですから、一番バランスの取れた「半構造化面接法」が面談ではオススメなのです。

多少の臨機応変さが必要となりますが、事前準備をしておく部分がある分、それほど難しくはありません。

 

きょういち

ここからは、半構造化面接法による三者面談の進め方のポイントを紹介していきます!

 

事前に基本項目を決めよう!

きょういち

まずは、構造化しておく内容を決めておきましょう。

 

基本項目は、多すぎても少なすぎてもいけません。

多すぎては時間をオーバーしますし、少なすぎでは逆にすぐに終わってしまうからです。

 

私自身は次の3つを準備しています。

事前準備しておく項目

 

生徒のよいところを伝える

きょういち

面談の最初には、必ず学校での様子を伝えるようにしています。

 

保護者は面談のために仕事を休むなど、時間をつくって学校に足を運んでくれています。

ですから、普段の家庭生活ではわからない子ども様子を聞きたいのです。

 

成績の話は、資料を見ればわかります。

資料では分からない学校の様子を伝えることが、直接学校で話をする意味でしょう。

 

その際、必ずよいことを伝えます。

 

子どもの悪いところ言われて気分がよくなる人はいません。

むしろ学校生活で、その伸びしろを支援するのが教員の仕事です。

 

ですから、悪いことを報告するのではなく、小さなことでもよいので生徒のよいエピソードを伝えましょう。

そうすることで、保護者との信頼関係も築かれていきます。

 

新人先生

最初の会話のきっかけにもなりそうですね。

普段から生徒のよいところを見つけられるようにしておきます!

きょういち

全員分のよさを普段から見つけようとすることは、「学級経営力の向上」「生徒理解」にもつながります。

 

進路先の考えを把握する

きょういち

つぎは面談のメインとなる進路関係の話です。

 

  • 進学か就職か
  • 都内か地方か
  • 下宿か通いか

など、生徒の意思はさまざまです。

 

基本的に本人が望む進路先に進んでほしいですが、家庭によって考え方はさまざまです。

 

それらが良い悪いではなく、家庭の状況を把握した上で生徒の考えに寄り添うことが大切ということです。

家庭の考えを把握せず、本人のためだからと学校の考えを押し付けると、間に挟まれた生徒は疲れてしまいます。

ですから、本人と保護者の意見が食い違う場合には、しっかり状況を把握することが必要です。

 

ここで、進路関係におけるポイントは、以下の3点です。

進路意思の確認のポイント

 

よくあるのが、模擬試験や学校の評定データ、教員の価値観などをもとに、「もっと上を目指せる」「もっとやらないと」「その進路は安定しない」などと一方的に話を進めてしまうことです。

もちろん、教員が生徒の背中を押したり、鼓舞したりする場面もあるでしょう。

 

しかし、それらは本人が明確な目標に向かって進んでいることが前提です。

 

ですから、まずは生徒の口から進路への考えを語ってもらいます。

  • なぜその進路を目指したいのか
  • そのために何を課題に感じているのか

など会話の中で考えを引き出しましょう。

 

普段から家庭で子どもと進路の話をする機会が少ない場合、保護者との考えの共有にもなります。

保護者と考えを共有しておくことで、学校生活での支援も行いやすくなるのです。

 

新人先生

実際の成績などは本人と話して支援していけばよいのであって、保護者がいる三者面談では考えの共有が大事なのですね!

 

学校への事前質問を準備する

きょういち

3つ目の基本項目は、事前質問です。

 

三者面談は貴重な機会です。

中学校や高校では、小学校のころのように学校と頻繁に関わりを持つことがありません。

ですから、面談の機会に保護者が疑問に思っていることを聞きましょう。

 

このとき、事前に質問をもらっておくことをおすすめします。

 

日程を調査する際に、

「何かお困りのことはありますか」

「学校への質問はありますか」

などの項目を調査用紙や調査フォームに入れておきましょう。

 

そうすることで、事前準備をして丁寧に回答することができます。

 

新人先生

教員が学校の様子を伝える。生徒が進路の考えを伝える。保護者の質問に答える。

全員が話す機会が生まれていますね!

 

半構造化面接法でオリジナルの面談をつくる

新人先生

基本項目で全員共通の内容が済んだら、自由に面談を進めていくのですね。

きょういち

その場の流れで情報提供をしたり、疑問点や質問をさらにもらったりしましょう。

 

当日に質問や疑問をたくさんもらう

先ほどのような質問を事前にもらう場合、遠慮されて記述が少ないこと多々あります。

経験上、記述がない場合でも当日に改めて聞くことで、紙に残らない形で率直な疑問を聞くことができます。

 

「答えられない質問が来たらどうしよう」

と不安に感じる方もいるかもしれません。

 

そこは教員としての学びの場です。

知識として準備できることは、事前にできるだけ用意しておきましょう。

 

一方で、必ずしもその場で答えなくてはならないわけではありません。

「後日確認して返答します」と堂々と伝えられれば、信用を失うことはありません。

むしろ、この場では質問を集める時間にしてしまうのも手です。

 

教員もデータベースではありません。

しかし、その情報にアクセスする方法はプロとして身近なはずです。

その場で示せない場合には、後日丁寧に回答しましょう。

 

新人先生

いい加減なことをいうより、むしろ良いですね。

 

生徒や保護者の疑問の引き出すために

臨機応変に回答することは難しいでしょうが、それも大切なスキルです。

 

そのために、保護者がどこに関心を持っているのかを対話の中で引き出しましょう。

保護者の主な関心どころ

など

 

対話の中で、保護者の関心事に応じて質問を投げかけましょう。

 

ここでのポイントは、教員があまり話しすぎないことです。

 

教員は話すのが仕事ですから、どうしても長く話しがちです。

保護者の考えや疑問を引き出すことを目的にしましょう。

時間切れの場合は、参考資料を紹介したり、後日回答をしたりすればよいのです。

 

また、ここでも教員の考えや知識を伝えるだけでなく、生徒の口から話をしてもらうことが大切です。

進路情報については、保護者の疑問を生徒に投げてみます。

そうすることで本人の理解度を確認できますし、普段から家庭で話をしない場合に保護者と生徒の間を繋ぐこともできます。

 

事前準備でツールを揃えておく

知識や情報については、生徒もまだ理解していない部分が多くあるでしょう。

そのような場合は、教員が情報提供をすることになります。

 

できるだけ面談の場で答えるためにも、事前に学びを深めておくことが大切です。

しかし時間が足りない場合もあるため、どのように情報にアクセスすればよいかを伝えられる準備もしておきましょう。

 

きょういち

私自身は以下のようなものをタブレットや書籍として準備しています。

 

準備ツール

 

大学のホームページは、事前に生徒の第一希望を全てブックマークして、すぐに開けるようにしています。

また、学校で取得したデータ類はExcelでシステム化し、学年全クラス分を出力できるように整えています。

 

これらは、自身でシステムを作ったり、どの雑誌やWebページから取得できるかを確認したりしておけば、必要に応じて更新をするだけです。

 

その場で調べて返答できなくても、資料や情報源を紹介することで保護者や生徒の疑問を解消することができます。

円滑な三者面談にするためにも、事前準備を整えておきましょう。

 

まとめ:全体項目と個別項目で、質の高い面談を実現させよう!

今回は、三者面談をよりよいものにするために、面接方法の一つである「半構造化面接法」に着目しました。

半構造化面接法とは、いくつか項目を用意し、そこから自由に質問をする形式の面談方法です。

 

三者面談を行う際に大切なことは、

  • 目的を明確にする
  • そのための内容を事前に決めておく

ことです。

 

実施時期に応じて、面談の目的を明確し、内容項目を事前にを決めておくことで、モレなく面談を進めることができます。

一方で家庭ごとに、前提や質問したい項目は異なるでしょう。

そのため、基本項目をベースにしつつも、臨機応変に対応ができる「半構造化面接法」を採用することがおすすめなのです。

 

基本項目は、先生方によって異なります。

私自身は、以下の3つを用意しています。

事前準備しておく項目

 

これらは学校生活・進路・保護者の疑問に焦点を当てています。

これら3つを面談に取り入れることで、どの時期でも概ね目的は達成されると考えています。

 

また、ポイントは教員が話しすぎないことです。

生徒自身に希望進路をプレゼンしてもらったり、保護者から疑問を投げかけてもらったりするなど、教員が一方的に話し続けないように心がけましょう。

 

教員が知識を示す場合には、時間をかけないよう事前に資料を準備してくことも大切です。

進路情報や生徒の様子など、事前準備ができるものはしっかりと準備をし、保護者に情報取得の方法を伝えられるようにしておきます。

そうすることで、生徒・保護者との信頼関係を築くこともできるのです。

 

三者面談は貴重な機会です。

面談を充実させることで、保護者・生徒・教師の信頼関係を構築し、生徒が自分自身の力で自己実現に向かえるよう支援していきましょう!

 

きょういち

今回の記事が、これから三者面談を行う先生方のちょっとしたヒントになれば嬉しいです。

 

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