グループ学習の方法や考え方を伝えるワークを取り入れてみてはどうでしょうか?
協働学習のために、グループ活動を取り入れることは多いです。
でも実際にやってみると
- おしゃべりで終わってしまう
- 対話が深まらない
などの悩みが出てきます。
これは、グループ学習への取り組み方が分からなかったり、そもそも人間関係ができていなかったりする場合があるのです。
そこで今回の記事では、協働学習を効果的に進めるための「人間関係づくりワーク」とそれらを教科学習に活かすための「振り返り」について紹介していきます。
紹介しているワークも楽しい活動ばかりですので、ぜひ最後までご覧ください!
▼協働学習のための集団づくりについては、こちらの記事も参考にどうぞ。
高校の数学教員として10年以上授業を行っています。
ただ学習内容を教えるのではなく、「学び方を教える」をモットーに授業作りをしています。
学級経営や授業びらきでは、対話的な学びを実現するための人間関係づくりも大切にしています。
目次
協働学習の基本は人間関係づくり
授業で協働学習を取り入れているのですが、イマイチ対話が進まなくて悩んでいます。
そのようなときは、まず共に学びを創るもの同士としての人間関係づくりを行なってみてはどうでしょうか?
- グループ学習を行っていても、なかなか議論が深まらない。
- そもそも積極的に参加できていない
このような課題をお持ちの先生方はいらっしゃると思います。
これらの原因の一つとして授業デザインの問題があります。
一方で、対話を進める上での人間関係づくりができていないことも実は多いのです。
確かにそうかもしれません。
好きなもの同士だとおしゃべりで終わってしまうし、機械的にグループにすると対話が生まれません…。
そのような悩みは多いですね。
学びを創る共通目的の中で誰とでも対話をしていくために、人間関係づくりワークがおすすめです!
人間関係づくりワークを取り入れてみよう!
人間関係づくりは対話の土台です。
大人になっても、同じプロジェクトを進めていくためには協働していく必要があります。
これは、プライベートの仲がよい悪いとは関係ありません。
生徒に置き換えてみれば、同じクラスの人というだけで必ずしも仲がよいとは限りません。
しかし、授業という場においては、学びを深めるという目標のために他者と協働していくことが必要です。
そのために、授業開きやHR活動で人間関係づくり行っておくこは効果的なのです。
少人数クラスが変わったときや協働学習の質が下がってきたと感じたときにも有効です。
人間関係づくりのワークは、チームワークを高めたり、対話への抵抗をなくしたりする効果があります。
遊び・ワークを通じて対話に必要なポイントを学んでおくことが、協働学習を深めることにつながるのです。
具体的なワーク3選
具体的に私自身が行ったことがある人間関係づくりトレーニングをいくつか紹介していきますね!
「時間がないとき」「じっくり取り組みたい」「ダイナミックに楽しみながら」
の3つのトレーニングを用意してみました。
NASAテスト
NASAが宇宙飛行士の採用試験として開発したゲームとして知られているものです。
詳しい問題や解答は、外部サイト「チームビルディング大百科」に掲載がありますので、参考にどうぞ!
ここでは単純な多数決ではなく、対話を通してグループでの順位を決めていくことを促します。
これらのワークを通して、協働学習のよさや自分の考えを論理的に説明すること、相手の意見を取り入れることなどが学べます。
問題とワークシートを渡すだけで、手軽に取り組めそうですね!
おもしろレジャーランド
おもしろレジャーランドは、カードに書かれている情報をそれぞれが提示して課題をクリアするゲームです。
カードには以下のような内容が書かれています。
※著作権への配慮から一部表記を変更しています。
参考元:職場の人間関係づくりトレーニング(2007)
上記のようなカードを個々に配付して、以下のルールのもと課題を解決します。
参考元:職場の人間関係づくりトレーニング(2007)
これらのワークを通して、相手の話を聞いて情報を整理したり、方針を共に立てたりするなど協働する力が養われます。
初めて行うときは情報カードの準備が大変そうですが、紙とペンだけあればできるので取り組みやすそうです!
KAPLA®ブロック 「高さ積み」
「KAPLA®ブロック」は、「ワンサイズの板」を積み重ねるだけで、建物や乗り物、動物まで作れるフランス生まれの木製ブロックです。
公式ホームページより
KAPLA®ブロックは、もともと建築模型のために作られたもので、歪みがなく非常に精緻な作りのブロックです。
公式で行われている「高さ積み」は、この精緻さを利用してどれだけ高くブロックを積むことができるかを挑戦するものです。
この高さ積みを活用したワークで、人間関係づくりを行なっていきます。
どうすれば高く積めるのか。
自然と意見交換をしたり、声掛けが出てきたりします。
スリルもあって盛り上がりそうですね!
弱点としては、
などがあります。
教材として揃えることができる、体育館でレクリエーションとしてできるなら、ぜひ試してみてください。
活動の最重要ポイントは「振り返り」
ここまで簡単に、人間関係づくりのワークを紹介してきました。
どれも対話や協働が深まりそうなワークでしたね!
ここからは、一番重要な「活動後の振り返り」について考えていきましょう。
これまで紹介したような、人間関係づくりワークはどれも面白く、生徒は夢中になって取り組んでくれます。
しかし、楽しい活動だからこそ「活動あって学びなし」となりがち。
そのようにならないためにも、振り返りをしっかり行うことが重要です。
もちろん、人間関係づくりを何もせずに協働的な学びを実現させようとするよりは、大きな効果が得られます。
ただ、これだけで終わりにするのはもったいないのです。
せっかく時間をかけて行った活動ですから、さらにもうワンステップ次に進んで活動を終わりにしましょう。
具体的に何を振り返ればよいのでしょうか?
それは、活動の中で自分がどのような「役割」をしていたかです。
各活動を例に見ていきましょう。
NASAテストの場合
NASAテストでは次のような生徒が出てきます。
場をまとめるリーダーシップ性や意見を整理する生徒が目立ちますが、どんどん疑問をぶつけて話題を広げる生徒も貴重な存在です。
また声が大きいだけでなく、じっくり考えてから発言することも大切な役割です。
おもしろレジャーランドの場合
こちらのワークでは、手元の情報カードに書いてあることを話しているだけでは課題が解決しません。
少し時間が経つと次のような生徒が出てきます。
こちらのワークでも様々な役割があるのです。
KAPLA®ブロックの高さ積みの場合
何も指示をしませんから、初めは全員で積み上げに参加し、なんとも効率が悪いのです。
しばらく見ていると、以下のような生徒が出てきます。
こちらも個々の生徒の性格や個性によっていろいろな役割を自然と担っていくのです。
自分の役割に自分で気づくことの大切さ
協働学習の中では、積極的に意見を出すことがよい態度のように見えます。
しかし、よい態度はそれだけではありません。
このように協働学習における役割はたくさんあります。
人間関係づくりの活動の中で、自分がどのような役割を担っていたか。
役割を振り返ることで、授業内の協働学習への取り組みにも生きてくるのです。
全員が自分の意見を言いっぱなしでは、学びは深まりません。
整理する生徒や異なった角度から話を進める生徒も重要です。
また一見すると受け身のように見えても、周りの意見をしっかり聞くことも協働学習の中では立派な役割です。
そして最後に、教員が各役割に優劣がないことをしっかりフィードバックすることで、より安心・安全な空間が作られます。
生徒が自身の役割に気づく、それを肯定する空間が協働学習を深める場づくりとなるのです。
まとめ:「振り返りを活用」して、協働学習に活かす人間関係づくりをしよう!
今回の記事では、協働学習を深めるための人間関係づくりワークを効果的なものにしていくために、振り返りの重要性を紹介してきました。
チームビルディングのワークは数多くあります。
その中で今回は次の3つのワークを紹介しました。
どのワークにおいても、教員が初めからやり方を説明するのではく、自然発生的にそれぞれの役割が出るようにファシリテーションを心がけます。
生徒はワークを行なっている最中は、ゲームに夢中です。
ここで終わらせてしまうと「活動あって学びなし」となってしまいがちです。
ですから、自身がどのような役割を担っていたのかを考えることが重要です。
ワーク終了後に改めて自分の行動を振り返る機会を設けましょう。
すると自分の性格や個性が見えてきて、協働学習での役割も認識することができるのです。
協働学習のなかで、自身の個性に応じた貢献ができそうです!
協働学習は、生徒が主体の学習スタイルです。
教員が学習内容を一方的に伝達する学習方法ではありません。
しかし何も準備をしなければ、おしゃべりで終わってしまったり対話が深まなかったりして、学びにつながらないことも多いのです。
今回紹介したようなワークと振り返りをセットで行うことで、「学び方を教える」ことがも大切な準備になるでしょう。
協働学習を実践している先生方は、ぜひ試してみてください!
▼今回の記事に興味を持ってくださった方は、こちらに記事もどうぞ!
グループ学習を取り入れても、なかなか対話が深まりません…。